サンビスカス沖縄/サッカースクール/幼児体育指導/運動遊び/スポーツフードアドバイザー
知念 諒
サッカースクールや運動遊びの指導をしていると、
- 何度も転んでしまう子
- よく人や物にぶつかる子
- いつもフラフラしている子
などを見かけることがあります。
もしかしたらこのブログを読んでくださっている皆さんの中にも自分のお子さんを見てそう感じたり、園の子どもたちを見てそう思ったりしたことがある方もおられるかもしれません。
実は、そういった子どもたちは、自分のボディーイメージがつかめていなかったり、空間認知能力が育まれていないことが原因だと言われています。
ボディーイメージとは、自分の体の輪郭や体の大きさ、体の傾き具合、力の入り具合などを感知する能力のことで。
例えば、何かにつまずいて転んだ場合でも、体が傾いたことを察知して転ばないように体勢を立て直したり、フラフープや縄を潜るような動作でも当たらずにくぐることができたるのもこの能力が関係しています。
空間認知能力とは、自分の周りの状況や空間を把握する力のことで。
例えば、投げられたボールをキャッチしたり、前から来る人を避けたり、物や人にぶつからずに走ることができるのもこの空間認知能力が関係しています。
ボディーイメージが乏しかったり、空間認知能力が育っていないと先ほどもあげたように、
- 人や物によくぶつかる
- 転んで顔や頭をケガする
- 体の動かし方がぎこちない
- 人との距離感がつかめず、人にくっつきすぎたり、近くにいる人にも大きな声で話をする
- 転がってくるボールをタイミング良く蹴ることができない
といったことにつながってしまいます。
では、こういった状況をどうやったら改善することができるのか?とお悩みになると思うのですが、「運動」をたくさん経験することで改善することができます。
なぜなら、先ほどお話ししたボディーイメージや空間認知能力は、平衡感覚や固有感覚、五感(触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚)が関係しており、それらの感覚は「運動」を通して育てることができるからです。
また、これまで私が指導してきた子どもたちでも、運動やサッカーを通して変わってきたことのを実感しているからです!
平衡感覚とは
まず、平衡感覚とは、主に体のバランスをつかさどる感覚のことです。
バランスというと、不安定な場所に立っている時のバランスや走っている時、動いている時のバランスを想像する方もおられると思うのですが、私たち人間は、ただ座っている時や立っている時でも姿勢を保持するためにバランスをとっています。
他にも平衡感覚は、「眼球運動」もコントロールしており、頭や体の揺れに応じて視線を安定させる力や黒板の文字を読んだり書いたりをスムーズに行うためにも重要な感覚です。
育てる方法
平衡感覚を育てる方法としては、かかしや飛行機のポーズ、V字バランスやライオン歩きといった体幹を保持する運動や平均台やトランポリン、バランスボールなどの道具を使ったバランス運動遊びがあります。
中には、平衡感覚が敏感で高い場所や不安定な場所が怖いという子もおりますが、小さな段差からの上り下りやジャンプ、低い段差での一本橋(平均台)などを繰り返し行っていくことで、少しづつ慣れることができます。
こういった運動をたくさん経験することで、体幹力を鍛えることができ、姿勢の保持ができたり、いろいろな状況でのバランスの取り方を体験することで、バランスを崩した時でもとっさに身を守ったり、体勢を立て直すことができ、大きなケガを回避することができるようになります。
固有感覚とは
次に固有感覚ですが、主に筋肉の張り具合を感知する感覚と言われています。
この固有感覚は、ほとんど無自覚で使われているのですが、この固有感覚があるおかげで自分の体が今どんな状態なのかを知ることができたり、力の加減をコントロールできたりします。
この固有感覚が育っていないと、細かい動作が苦手であったり、力加減ができずに乱暴的であったり、動作のモノマネが苦手であったり、常に体に力が入っていたりといったことに繋がります。
育てる方法
固有感覚を育てる方法としては、鉄棒や肋木のぼり、動物歩きや相撲遊びといった全身を使う遊びがあります。
固有感覚は、平衡感覚や五感などと関連して育てることができるので、全身を使った遊びの他にバランス運動遊びや、ボール遊び、動物モノマネなど様々な運動を行うことで育てることができます。
固有感覚を育てることで、力のコントロールができるようになり、スムーズに動けるようになったり、動作の切り替えもスムーズにできるようになり、人や物にぶつかることがなくなります。
空間認知能力とは
空間の認知能力は、五感が大きく関係しており、運動的な空間認知能力では、五感の中でも視覚・聴覚・触覚が関係してきます。
例えば、先ほども説明しましたが、
- 投げられたボールをキャッチする
- 前から来る人を避けたり、物や人にぶつからずに走る
- 積み木の大きさや重さ、位置を理解して積み上げる
- 大縄跳びが回っている中に入ってジャンプをする
といったことができるのも、この空間認知能力があるからです。
この空間を認知するときに、様々な情報をキャッチするのですが、その時に多くの情報をキャッチするのが「視覚」だと思います。
人を目(視覚)で見て、ぶつからないように避ける。
ボールや風船を目(視覚)で見て、落とさないようにキャッチする。
と言ったように、物や人を目(視覚)で見て、そこに物があることやボールが落ちてくることを認知して取ることができ、人が来るというのを認識するからこそ避けることができます。
他にも、聴覚であれば、声の大きさから人がどのぐらい近くにいるのかを知ることができたり、触覚であれば、触れた部分から人がどこにいるのかを知ることができます。
育てる方法
視覚:視覚は様々な運動で使われる部分ですが、ビジョントレーニングと言われるような視覚を育てるトレーニングもありますが、ボールや風船を使った遊びでも「ボールや風船に注目する」ということができるのでオススメです。
また、鬼ごっこでも育てることができます。
聴覚:聴覚は、「だるまさんが転んだ」や合図に合わせてジャンプ(支持者が右と言ったら右にジャンプなど)など聴覚を使った遊びを行うことで育てることができます。
触覚:触覚は、箱の中に様々な形の物を入れて、それを手探りで触って当てるようなゲームなどで育てることができます。他には、背中に文字を書いてそれを当てるようなゲームを行うのもオススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 転ぶことが多い
- 人や物にぶつかることが多い
- ボールをうまくキャッチできない
- 体の動きがぎこちない
と言ったことも、運動を通してたくさん経験していくことで段々と育てていくことができます!
今はまだ、そういったことが見られるかもしれませんが、運動をたくさん経験して色々な体の動かし方、バランスの取り方、受け身の取り方や力の入れ方などを身につけていくことができますので、ぜひ子どもたちにはたくさんの運動を経験してほしいと思います!
“参考資料
発達の気になる子の体の動き しくみとトレーニング(ナツメ社出版)”