やり場のない怒りを運動で和らげられるように

サンビスカス沖縄/サッカースクール/幼児体育指導/運動遊び/

知念 悟

 

それは、先日、放課後等デイサービスで体育の巡回指導サポートをしているときでした。

いつも通り、バランスあそびやボール遊びなどを通して、子どもたちと楽しく運動を行なっていました。

 

すると、突然、

「ドンッ!ドンッ!!」

と低く鈍い音が聞こえてきました。

 

何の音だろう?と、その音が鳴る方向を見てみると、

小学4年生になる男の子がクッション性のある壁を思いっきり殴っていたのです。

 

いきなりの出来事に僕も驚きを隠せませんでした。

ついさっきまで笑って楽しく遊んでいた男の子が、急に眉間に力を入れて壁を殴っているわけですから。

 

いきなりどうしたんだろう??という気持ちで、

その男の子に歩みより、「急に壁を殴って、どうしたの?」

そう聞いてみると、「わかんないけど、殴りたくなったから。」

 

わからないという僕の予想の斜め上をいく感情に、「じゃあ、イライラしてるの?」と聞いてみると、「うん。」と申し訳なさそうに答えます。

「そっか。もしよかったら、いきなり壁を殴りたくなった気持ちを先生にも教えてもらってもいい?」

このように聞いてみると、

「わかんないけど、壁を思いっきり殴るとスッキリする。」

イライラを抑えたいというその子なりの解決法なのだと感じました。

 

そこで!

「次のゲームはボールを転がしてボールに当てた人が勝ち!っていうゲームをするんだけど、当たられたらスッキリすると思うから一緒にやらない?」

という僕の提案に「わかった!」と返事をして、そのあとは楽しそうな顔でボール転がしゲームを楽しんでくれました。

 

昨年の10月から放課後等デイサービスに運動指導を関わっている子ども達の中には、「感情のコントロール」を苦手にしている子どもたちがいます。

 

先ほどの出来事のように、急に怒り出したり、急に走り出したりと自分自身の感情行動をコントロールすることが得意ではありません。

 

医学的に言うのであれば、ADHD(注意欠陥多動性障害)といい、多動、不注意、衝動性という特性が見られ、「気分の切り替えが苦手」、「予期せぬことへの対応ができない」という特徴があります。

 

もしかしたら、急に怒った男の子は、さっきまでの遊びが楽しくて次のゲームに移ったことで気持ちの整理ができなかったのかもしれません。

もしかしたら、僕からは楽しそうに見えていたのですが、その子からすると思ったように上手くできていなくて、そのことにパニックになったのかもしれません。

 

今回の出来事に関しては、何にイライラしているのか?という自分の気持ちを理解するまでは難しかったようですが、そのイライラを抑える解決方ならわかっているようでした。

それが、むしゃくしゃしている気持ちを、スッキリさせたい。

ということです。

 

今回の壁を殴る。という行動は、決して正しい行動ではないと思います。

なので、これからはその子にとって「運動が怒りを和らげるスッキリするもの」になればいいなと思っています。

 

ちなみに、運動は「怒り」への耐性を上げるのにも効果的だということが研究で明らかにされています。(特に男性に、より効果的なのです。)

きっと、子ども達自身も自分の感情を上手く読み取れない。上手に表現できない。上手く伝わらない。といった悩みと戦っています。

 

「怒りっぽい子」として思うのではなく、その子が本当に感じている裏側の気持ちに気づけるように、優しく安心感を抱いてもらえるよう関わりながら、子どもたちの気持ちを受け止めてあげたいと思います。

 

そういった積み重ねが、放課後等デイサービスに通う子どもたちにとって、

運動によって身体の成長だけでなく、イライラを和らげたり、出来た!という成功体験で嬉しさを感じたり、反対にできないことを取り組む気持ちや誰かと協力する大切さを養う場として、「運動遊び」が存在するように、これからも関わり方を探求していきたいと思います。

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