サンビスカス沖縄/サッカースクール/幼児体育指導/運動遊び/
知念 悟
僕が担当しているサッカースクールの幼児クラスにあるひとりの女の子がいます。
その子は、マイペースな部分はありますが笑顔が素敵で明るく、僕の方がその子から元気を貰えています。
サッカーをすることも好きで、とてもいい雰囲気でいつも練習ができています。
ですが、以前からその女の子について気になっていることがありました。
それは、、、
「サッカーのプレー中にボールを目で見ていないことが多い。」
ということです。ボーッと景色を見てプレーに集中していないとかではなくて、一生懸命プレーしているけどボールを見ていないことが多いのです。
わかりやすく実際のその子のプレーで起きることが、
- ボールを見ていないため、蹴るポイントがズレてしまい進行方向とボールが違う方向に転がる
- ボールを見ていないため、ボールが足元に入りすぎる、またはボールが置いてきぼりになる
そんなもったいないプレーがときどき起こります。
そこでその子に対して声をかけようと思ったのですが、ひとつの疑問が頭の中に浮かびました。
「ボールを見て蹴ろうね!」という声かけは正解なのか?
なぜならサッカーはボールを見ずにプレーができれば、たくさんのメリットがあるからです。
ボールを見ないでプレーできれば、味方がどこにいるのか、敵がどこにいるのか、という把握が早くできる。その結果どのプレーを選択すればいいかという判断スピードが上がります。
ボールを見ないでプレーできれば、ゴールまでの最短ルートを把握できます。
ドリブルしながらでも相手の出した足に素早く反応することができますし、よりドリブルのしやすいスペース(場所)を見つけることができるので、とても有利に働きます。
決められたサッカーコートの中で、計22人という大人数で争う競技ですし、敵のチェック(ボールを奪いにいくこと)のスポードが上がり、守りもより個ではなく組織的になってきている現代サッカーにおいて、「ボールを見ないでプレーをする」ということは、とても良いことなんです。
(世界のトップ選手のプレーは、本当にボールを見ていないことが多いので、ご覧になって頂けるとよりわかりやすいかと思います。例:メッシ、ネイマール、etc)
そのため、「ボールを見て蹴ろうね!」という声かけは、その子の未来の才能を奪う声かけかもしれないと感じたわけです。
まだ幼いからボールを見て蹴るのは当たり前。
いまボールを蹴れていないときがあるんだから、注意して当然。
これらは、「サッカーはこうあるべき」とか「小さい頃はこうやるべき」という、僕ら大人が勝手に抱いている先入観や常識なのではないでしょうか?
【実際に聞いてみた!】
そこで僕は、ボールが置いてきぼりになったり、思ったようにプレーができていないという問題が実際にあるので、その女の子に聞いてみました!
「サッカーしているときに、どこを見ていることが多い?」
と聞いてみると、答えに悩んでいたので、
「ボールを蹴っているとき、ボールとボール以外どこ見ていることが多い?」と聞くと、
「まえ見てる!」
とはっきり答えたのです。
どうしてボールを見ないでまえを見ているのか、さらに聞いてみると、
「だってゴールに一番近くに行くのにどうしたらいいのかがわかるから!」
そんな驚く答えが返ってきました。
その子なりにボールを見ない理由があって、ちゃんとした考えをもってプレーしていたのです。
マイペースな女の子だから、あまりなにも考えていないのかな?と思っていたのは、僕が勝手に抱いたその子への先入観でした。(ごめんね。)
その子の考えを聞けたことで、小さいな才能のカケラに気づくことができました。
「ボールを見ないで蹴れることはサッカーでとっても良いことだから、そのままにして、ドリブルするときにちょっとだけ見たり、使い分けるともっと上手くなると思うよ!」
僕自身その子の才能を知れたことで、ボールを蹴るときはちゃんと見て蹴ろうね!ではなく、使い分けよう!という声かけを伝えることができました。
まだまだ小さな才能のカケラかもしれませんが、それを一般の常識や先入観に当てはめてしまい奪うのか、その子の考えを聞いて個性を認め才能を伸ばすことができるのか。
大人の声かけ次第かもしれないと感じた機会となりました。
プレーの才能以外にもサッカースクールでは、他の子よりも誰かと協力することができる。他の子を元気に出来る明るさがある。地味な練習でもひたむきに頑張ることが出来る。
そんなこどもたちの才能で溢れています!
こどもたちの小さな才能のカケラを輝かすことができればいいなと感じます。
ぜひみなさんもお子さんの小さな才能のカケラを見つけてあげて、その才能が伸びるような声かけをしてあげることで、こどもたちの自信に変えて欲しいと思います。
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