子どもたちを指導している中で、よく見る光景があります。
- 他の子と話している
- 違う方向に顔を向けて、ぼーっとしている
- 座って下を見ている
こちらの説明をなかなか聞いてもらえていない状況です。
そんなとき、
「いま、説明を聞かないとわからなくなるよー!」
「聞く時間だからね!」
「○○、話聞いてる?!」
といった感じで、こっちの話を聞いてもらうように声をかけます。
小学生の高学年でもあれば理解力も高いので、一度や二度の声かけで正してくれます。
ですが、低学年や幼児期の子どもたちは、伝えた瞬間は正してもすぐにまた他に気が取られるなんてことがよくあります。
その中で、僕自身が気になっていることがあります。
それは、受け手からすると注意しているように感じてしまう。
ということです。
もちろん話を聞かなければ、これからやりたい運動の取り組みが難しくなるため、上手く運動に入ることができません。
その結果、他の子から取り残された感じになり、どうしたらいいかわからないので、楽しくなく最悪の未来として運動を苦手や嫌いに感じてしまいかねません。
このような未来を避けるためにも、話を聞いてもらうために注意をするのですが、言う側も、言われる側もあまりいい気分にはなりません。
注意が悪いわけではなく、注意を受けて少しテンションが下がっている状態から、運動に入るのは気持ちの切り替えが必要になるため、どうにかできないかな。
そう感じていたのです。
そんな中、いつも現場が終わるとコーチたちとその日の振り返りをしているのですが、充幹コーチと話している日のことでした。
その会話の一部で最近、子どもたちに対して意識して伝えていることがあるという話でした。
それがタイトルにもある「子どもたちに必要な3つの力」です。
3つの力が何かというと、
- 聞く力
- 見る力
- 試す力
この3つの力が必要であるという話です。
その上で充幹コーチは、3つの力を子どもたちに伝えた上で指導に入っているということでした。
すごく価値のある話を教えていただけたので、僕も実践してみることにしました。
運動に入る前に、いまみんなには必要な3つの力があると話し、説明をしました。
試す力の部分は、年齢によっては理解が難しいため、できないことがあっても頑張る力と例えながら説明をしました。
すると、面白い反応が起こりました。
この3つの力を説明した後に、運動メニューの説明中に、「今は何の力が大切な時間?」と質問すると、子ども達からは「見る力!」「聞く力!」という答えが力強く返ってきました。
その反応に対して僕も、
「いいねー!いまみんなの聞く力がグングン伸びているよー!」
そうリアクションすると、子どもたちの表情がイキイキしているように感じました。
同じ「説明を受ける」ことを目的にしているのに、「話を聞きなさい!」だと、受け取る側としては、どうしても注意されているような感覚になります。
一方、「いま試す力を伸ばそうか!」と声をかけると、子どもたちがチャレンジしている心構えになり、前向きな気持ちになります。
日本語って伝え方ひとつで受け取る側の気持ちを変えてしまう力を持っている、と改めて感じた瞬間でした。
スクールにおいても、普段の練習で同じメニューをこなしても差が生まれるのは、3つの力による部分が大きいと思います。
例えば、列になり並んでいるメニューでは、自分の番が回ってくるまで時間があります。
その時間で他の人のプレーを見るのか、時間の使い方で成長の度合いに違いが生まれます。
基本的な運動能力もスポーツにおいて重要なことは当たり前ですが、こういった目に見えにくい能力もとても重要な要素だと思うのです。
また3つの力はスポーツに限らず、学校でもその先の社会生活においても必要な力ではないでしょうか。
周りで何が起きていることを観察して、自分以外の人の言葉に耳を傾ける。
見聞きした情報や学んだ知識を失敗を恐れずに試せる人は、勉強や仕事においても欲しい成果を手にすることができるタイプだと思います。
もし、お子さんが話を集中して聞けないや落ち着きがないといったことがありましたら、ぜひ3つの力を説明して、この力を伸ばしてみよう!といったアプローチを試されてみてはいかがでしょう?
サンビスカスに携わる子どもたちが運動能力だけでなく、スポーツを通してこういった生きる上で重要な力を身につけてくれたら嬉しく思います。
僕たちもいま行なっている声かけが正解だと思わずに、子どもたちの気持ちを前向きにさせる言葉かけを意識して、成長しようとする背中を、押してあげられるような関わり方ができたらと思います。