大人しい女の子の嬉しい言葉

「サトル先生、年長さんクラスのAちゃんのこと聞きました??」

先日運動指導に入っている、こども園の先生から、このように声をかけられました。

「なんだろ?」

「なにか運動でイヤなことがあったのかな??」

僕は、少しネガティブなことを考えてしまいました。

そう思ってしまったのも、そのAちゃんは運動がとても得意!といった子ではなく、運動能力だけで言えば、周りと比べるとちょっとだけ苦手といった感じです。

その上で、たまたまなのですが、その1週間前に園長先生からその子についてある相談を受けていたのです。

内容を話せる範囲でお伝えすると、通っているスイミングスクールで、なかなか進級ができずに保護者の方も運動について不安を抱えており、

「サトル先生から見て、Aちゃんの運動能力って、どう思われますか?」

そんな相談を受けていたからです。

前の文章でも触れたように、そのAちゃんの運動動作には少し弱々しいところがあります。

運動の基本である走る動作を例にすると、肘が伸びきって走る癖があり、膝も大きく上にあがらないため、「走る」という動作において改善している段階でもあります。

とはいっても全く運動が苦手というわけではなく、ものすごく活発で動きが強い子に比べると、そう感じるといった程度です。

ご相談いただいた園長先生に、そのようにお伝えした上でこのような言葉も付け加えました。

「でも考える力や理解力は、他の子よりもありますし努力できる才能を持っていると思いますよ。」

そう伝えたのも、普段の運動遊びでの鬼ごっこにおいても周りを見て逃げるルートを探したり、鬼を任せられた際は先回りしてタッチをする、といった考える力を感じる場面が多々あります。

また苦手な自分の体を扱う動きにおいても、一生懸命ひたむきにコツコツと頑張ることができる子で、以前よりも動きが洗練され強さを感じる場面も増えてきました。

性格においても、大人しくおしゃべりな子ではありませんが、「できない」や「イヤ」といった弱音は吐かず、黙々と物事に取り組める子です。

このような印象を園長先生に伝え最後に、

「考える力がありますし、コツコツと継続できる強みを持っているので、体を扱う能力がもっと身につくと、一気の伸びるタイプだと思います。努力できる子なので、見ていて応援したくなるタイプです。」

僕なりのAちゃんの印象を素直に伝えました。

ですが現実問題、通っているスイミングでは壁に当たっているため、後日先生にAちゃんのことを質問されたときに不安を感じたわけです。

・スイミングでなにかあったのかな?

・運動自体がイヤになっちゃったのかな?

そうしたネガティブな思考が僕の頭をよぎると、返ったきた答えは、少し意外なものでした。

「Aちゃんが自分で、サトル先生の運動遊びに通いたいってお母さんに相談したみたいですよ!」

それは、僕にとって意外な展開でした。

なぜならAちゃんは自分の意思を伝えることが、あまり得意な子ではなかったからです。

先生が保護者の方から聞いた話によると、

お家でも自分から主張することは少ないみたいで、珍しく自分でしたいことを言ってきたため、サトル先生の運動遊びを通うために、どうしたら良いかを園の先生に相談したとのことです。

この話を伺い、とても嬉しい気持ちになりました。

何十人もいる園児の中で、初めから運動が大好きな子はたくさんいます。

むしろ、基本的に子どもたちは運動が大好きです。

ですが、Aちゃんは運動に対して、そこまで前向きな子ではありませんでした。

最初のころは、こちらから話しかけても小さな声でしか反応してくれませんでした。

そんな年少さんクラスから運動を通して関わっている、Aちゃんの心の変化にとても嬉しく感じた瞬間でした。

もしかしたら、スイミングで伸び悩んでいる状況をAちゃんなりに打開したくて、お母さんにお願いをしたのかもしれません。

それでも運動に決して前向きじゃなかった子が、運動が好きになり、運動をもっと頑張りたいという感情の変化に立ち会えることができ、指導者をしていてよかったなと感じました。

もっと、Aちゃんのような子を増やしたいと率直に思いました。

サンビスカスに通って、日に日に運動が大好きになる。

そんな風に今関わっている子どもたちに感じてもらえるよう、運動の魅力を伝えることができればと思います。

最後に、Aちゃんは僕が担当している木曜コザ校のキッズスポーツに通うべく、現在保護者様が送迎を調整していただいていると聞いています。

仕事の時間と重なり、難しい状況だということですが、もしスクールに通うことができなくても、卒園を迎えるまで精一杯運動の良さを伝えていきたいと思います。

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