先日とある保育園で、運動あそびをテーマに先生方に向けた講習会を行いました。
その講習会の中で質疑応答やアンケートの中でも
「保育でも2つの声かけを使い分けながら子ども達と接してみたいと思います!」
というお声が多かったので、普段の子育てでも活かせると思い、あなたにもご紹介したいと思います(^^)
あなたはティーチングとコーチングについてご存知でしょうか??
コミュニケーションスキルと言えるものですが、実際に運動指導ではこの2つのスキルを使い分けしながら子ども達には声かけを行なう場面が多いです。
子育てだけに限らず、部下など仕事関係にも使えるのでぜひ最後までご覧ください!
ティーチングとは?
ティーチングとは、知識や情報を伝えて正解を教えること言います。特徴としては、教える側が答えを持っている。教える側の意思が中心。会話が一方通行。といった特徴があります。
コーチングとは?
コーチングとは、質問など問いかけることによって学びを得てもらうことです。特徴としては、答えは相手が持っている。相手の自主性を尊重。会話が双方向。といった特徴があります。
コーチングを上手く使うことができれば、子どもが自分自身で考えて答えを導き出す能力が高まります。
このように聞くと、コーチングの方が凄く良い声かけテクニックのように感じますが、私自身ティーチングをこだわるようにしています。
なぜなら、自分が持つ「答え」と相手が持っている「答え」が一緒でなければ、コーチングは最大限の効果を発揮しないからです。
ここで、ひとつ事例でお話したいと思います。
3歳児のある男の子がいました。その子は、いつも並ぶとき後ろを向いていたり、列から横にはみ出したりして、担任の先生から「ちゃんと並んで!」と言われることが多かったのです。
これが一度や二度ではなく、運動あそびのときはいつも同じことを繰り返していました。
そのときに僕は、自分(先生)が持つ答えと相手(男の子)が持っている答えが一緒ではないと思ったのです。
おそらく男の子からすると後ろを向いていようと列からはみ出していても、本人は「並んでいる」という感覚なのだと思いました。
そこで男の子に対し、前にいるお友達の背中の近くに立つ。近くといってもくっつくのは違う。背中から離れているや目の前に背中がないとき(後ろ向きの状態)は並んでいるではない。ということを伝えてみました。←ティーチング中です。
すると、「〇〇くん、並ぶって背中のどこに立つことだっけ?いまは並んでいるで当たっている??」という声かけ(コーチング)を繰り返していると、こちらが指示をしなくても並べるようになりました。
むしろ、先生並ぶの上手でしょ?と自慢してきます。笑
つまり先生(大人)からすると、並ぶということは相手の後ろに真っ直ぐ立つことが答えなのですが、子ども達からすると、なんとなくお友達の近くにいれば並んでいることが答えだったのです。
そのため「ちゃんと並んでいる?」と、どれだけコーチングをしても、肝心な答えがズレていると欲しい成果が得られないことに気づいた出来事でした。
ちなみに、その後先生に説明すると、なるほど!と納得していただけました(^^)
話を戻すと、コーチングとはティーチングが共有されていることが前提に成り立つテクニックというわけです。
それ以来、普段の保育園での運動あそびでもティーチングについて、凄くこだわりを持ち子ども達と接しています。
- 正しく並ぶとは?
- きょうつけ(気をつけ)のときの正しい姿勢とは?
- 正しく座るとは?
- 話を聞くとは?
ひとつひとつ言語化し、子ども達と共有の意識を持つようにしています。
このティーチングをこだわってからは、「これちゃんと座れている?」という声かけひとつで、子ども達が自分自身でハッとした顔で直せるようになりました。
正しい答えを伝えているので、普段の姿勢も「正しい姿」が当たり前になってきている子が増えてきました。
例えばイスに座るでいうと、両足を地面につけて膝を閉じて、背中はもたれずに真っ直ぐの姿勢を取るということが当たり前になってきました。すると、お腹やお尻、背中に力を入れ自分で自分を支えることが当たり前となり、普段の運動にも力強さが増してきました。
少しだけ話が逸れてしまいましたが、僕があなたに一番何を伝えたかったかというと、A=Aという答えだと伝えていることが、相手にはA=Bになってしまっていることはありませんか?
もし、答えがズレてしまっていれば、いくらコーチングをしても導かれるのは間違った答えのBという結果になってしまいます。
お子さんが成長していくにつれて、私たち大人が当たり前だと思う答えと一緒だと思い込んでしまうことも増えてくると思います。
子ども達も知識や考える力が身に付いてくるので。
ただ、いつも同じことを注意している。何度言っても変化がない。というときは、もしかしたら子ども達が持っている「答えそのものの解釈」が少し違う可能性があるため、そのときはティーチングに立ち返ってみてはいかがでしょうか??
ティーチングとコーチングを意図して使い分けしながら、子ども達の可能性を広げてあげたいですね(^ ^)