去った4月、トレセン沖縄スタッフ研修会に参加しました。
この研修会では、あらかじめ割り振られたテーマで指導実践を行い、各地区のトレセンスタッフの前で実際に指導をします。そのために、改めてサッカーの「4局面」と「プレーの原則」を振り返りながら、準備を進めてきました。
指導実践を終えたあとには振り返りと意見交換の時間があり、自分自身の指導を見つめ直す貴重な機会となりました。
今回は、その中で感じたこと、学んだことを整理してお伝えします。
自分の指導をふりかえって
指導実践のあと、あるスタッフから「自分がさせたいプレーを押しつけてしまっていませんか?」と投げかけられました。
その言葉に、ハッとしました。
振り返ってみると、いつの間にか「こうしてほしい」「こうやってほしい」と、自分の考えを優先しすぎていたなと感じました。
選手たちが何を見て、どう感じて、そのプレーを選んだのか。そこに目を向けて、耳を傾けることができていなかったとに気づかされました。
また、「個人戦術の積み重ねが大事」という話も心に残りました。
目の前のひとつひとつのプレーが、選手の経験となり、その積み重ねが成長につながって行くんだなと、あらためて、その大切さを感じた時間でした。
こうした振り返りの中で思ったのは、選手の判断や選択を大事にしながら、その判断を助けるヒントを、指導者としてしっかり伝えていく必要があるということです。
そのうえで、改めて考えたのが、サッカーの試合で中で何度も繰り返される「4つの局面」と「プレーの原則」でした。
判断の土台となる「4つの局面」と「プレーの原則」
サッカーは、攻撃と守備、その切り替えがめまぐるしく続くスポーツです。
その中で選手たちは、「今はどんな場面なのか?」を感じ取り、「何をすればいいのか?」を考えながらプレーしています。
だからこそ、選手自身が今の状況を理解し、判断できるように、局面ごとに「大事にしてほしいこと」をわかりやすくす伝えることが必要だと感じています。
サッカーの「4局面」と「プレーの原則」
サッカーは、次の4つの局面が連続して繰り返されるスポーツです。
1、「攻撃」
2、「攻撃から守備(切り替え)」
3、「守備」
4、「守備から攻撃(切り替え)」
それぞれの局面で、選手が意識すべき判断やプレーがあります。
■ 攻撃
•ダイレクトプレー
•優位な状況を作りながら前進
•スペースを作る、利用する
•ゴールを奪う
■ 攻撃から守備(切り替え)
•即時奪回
•ボールを局面から逃さない
•背後のスペースを管理する
•守備を再組織する
■ 守備
•アグレシッブにプレスをかける
•コンパクトな守備から奪う
•ゴールを守る
■ 守備から攻撃(切り替え)
•奪った瞬間にゴールを目指す
•広いスペースを使う
•ボールを確実に保持する
また、4局面とあわせて整理しておきたいのが「プレーの原則」です。
【攻撃の原則】
・突破:ボールを持った攻撃側は、ゴールに向かうことで相手を突破しようとする
・サポート:ボール を失わずに突破の選択肢を増やすためにサポートする
・幅&深さ:突破の可能性を高めるために、外側の選手にボール運び、守備の薄い場所から突破を試みる(幅)
・同時に、ボールを失わないようなポジションをとり、攻撃を継続して突破をうかがう(深さ)
・モビリティ:攻撃側はボールを失わないようにしつつ、個々の選手が様々の動きを駆使して相手の守備を混乱させてゴールを目指す
・創造性:個々の選手の創造性や一瞬のひらめきによっても相手の守備を突破することを狙う
【守備の原則】
・プレス:守備側はボールを奪おうとすることで相手の突破を阻もうとする
・遅らせる:ボールと自陣ゴールの間に入ることで相手の攻撃を遅らせようとする
・コンパクト:ボールと自陣ゴールの間に選手を多くすることで厚みを持ち、突破の可能性を低くしつつ、ボールを奪うチャンスをうかがう
・バランス:攻撃の動きに対して、マークを徹底すること、受け渡すこと、スペースを埋めることなどで混乱しないように対応する
・コントロール:攻撃に惑わされず、相手をよく観察し、粘り強く対応することが求められる
今回の学びを今後へ
今回の研修会では、自分の指導を振り返るとともに、改めて「4局面」と「プレーの原則」の大切さを再確認する機会となりました。
「選手がどの局面で何を考え、どんなプレーを選択するべきか」これをしっかりと伝えていくこと。
そして、日々のトレーニングの中でも、この基本を大切にしながら、選手自身が「気づき」「考え」「判断する」ことをサポートできるよう、関わっていきたいと思います。