試合中、こんな経験はありませんか?
・味方からパスを受けた瞬間、トラップミスもしていないのに相手に追い込まれてボールを奪われてしまう
・自分はうまくパスを出せたのに、その味方がすぐに相手に詰められてボールを失ってしまう
そうしたプレーを何とかしたくて頑張っているのに、なぜか同じことを繰り返してしまう…。
そんなときは、「ボールを止める」というプレーに目を向けてみてください。意外かもしれませんが、そこに改善のヒントが隠れているかもしれません。
たとえば、「右にパスを出したいから、最初から右にボールを流しておく」といった考え方。
一見スムーズで良さそうに思えますが、実はその「流す」という行為が、相手にとってボールを奪いやすい状況を自ら作り出しているケースがあります。
守備側は、相手の進む方向を限定して追い込み、ボールを奪うことを狙っています。もし、こちらがボールを右に流したらその時点で、プレーの選択肢は「右」だけに絞られてしまいます。
つまり、自分で「右にしか行けませんよ」と相手にヒントを与えてしまっているわけです。
そこで「止める」ことが重要になります。
ボールを止めることで、右・左・前といったすべての方向に選択肢を持ち続けることができます。相手ディフェンスにとっては動きが読みづらくなり、自分たちはより有利な状況を作り出せます。
加えて、「止める」ことで時間を作ることもできます。一度ボールを止めてから周囲を確認することで、自分自身の判断に余裕が生まれます。
そしてそれは、自分だけでなく味方にも次の動きを考える時間を与え、チーム全体のプレー精度を高めることにもつながります。
さらにもう一つ、意外に思われるかもしれませんが、「止める」ことでプレーのスピードも速くすることができます。止めて判断を明確にしておけば、次のプレー(パス・ドリブル・シュートなど)への移行がスムーズになります。
逆に、止めずに慌ててプレーを続けると、判断が曖昧になり、結果的に動作が遅れたりミスが増えることもあります。
つまり、「止める」ことで、
①選択肢を広げる
②時間を作る
③プレースピードを上げる
という3つのメリットを得ることができます。これはあくまでも一例ですが、「止める」という一見シンプルなプレーが、試合の中でどれほど大きな意味を持つのか、改めて考えてみる価値はあると思います。
普段のパス練習でも、「ただ止める」ではなく、「選択肢・時間・スピードを得るために止める」と意識するだけで、プレーの質は大きく変わります。試合での成功は、こうした小さな意識の積み重ねから生まれるのです。