サンビスカス沖縄/サッカースクール/運動あそび/障がい者スポーツ指導員
谷本 優希
わたしは昔、『はたらき小人説』という独自の説を唱えていた。
いちばんよく覚えているのは、信号機のお話。
あるとき、運転していたお父さんが「なんでワシが運転したら、こんなに信号にひっかかるんかのぅ」と嘆いたとき。
「そりゃぁお父さんが、小人にいじわるされとるんよ」と私は言った。
自分で覚えているくらいなので、幼稚園生とかの時代ではないはずだ。
6歳下の弟に「ゆっちゃん何言っとん?」と笑われた記憶まであるので、5.6年生頃の話かもしれない。
車に乗っていた家族全員に、真顔で語った小人説。
「信号機の中には小人が住んどるじゃろ?それで、あの信号機の目玉の中から外の車を覗いてからさ、みんなで(次はそっちが青だよ!)(あと3秒ね!)とか話し合ってから、色を変えとるんだと思う!じゃけえ、お父さんは赤信号になるように、小人たちにいじわるされとるんよ。」
そんなようなことを、必死に語った。
未だに家族で車に乗るときは、「ゆっちゃん、小人たちに(早く青にして~)ってお願いしてよ」といじられる。
谷本家に電撃の走った、はたらき小人説である。
当時、たぶん1番下の弟が6歳で、ギリギリこの説に納得してくれた。
私と弟は、「絶対そうだねっ!」と浮かれながら、一段と仲良くなった。
なにも小人説は、信号機だけのものではない。
エレベーターを動かしているのも、洗濯機を回しているのも、とにかく電気で動いているもの全て、はたらき小人が見えないところで頑張っていると思い込んでいた。
あるとき、電動えんぴつ削りが壊れて動かなくなったとき。
お父さんが分解して直そうとしてくれた。
バラバラになった鉛筆削りの中から、1人も小人が出てこなかったとき、なんだか置いていかれた気分で、寂しくなったものである。
何歳まで信じていたのかは、不明。
先日なでしこスクールで、久しぶりに小人説をちょっと語った。
ミニゲームのために、私がビブスを渡しながらチーム分けをしていたら。
一年生の子が「〇〇ちゃんと同じチームが良い!」と主張した。
いつものことなので、「今日は違うチームでがんばろうね」と促したところ、いじけて(ぁ“~ぁ・・)という空気になった。
まだまだ自分の気持ちが1番‼︎の一年生。
勝負に負けたら泣くし、思い通りにいかないと怒る。素直でかわいい。
「コーチ昔さ、小人って本当にいると思っていたわけ。」
と話すと、「えっ??なに??」と食いついてきた。
「電信柱って、あるでしょ?あれって、隣の電信柱と、線で繋がってるじゃん?あの線の中を、電気がビリビリ!って通ってから、隣の電信柱まで電気を運んでいるわけよ。」
「へー。。。そうなんだ。」
「それをコーチは昔ね、あの線の中を小人がめちゃくちゃ走り回って、電気を運んでいるんだって、思ってたんだよね」
ぽかーーん。と口を開けたまま固まったかと思えば、そのあとすぐに吹き出した。
なにそれ~ヾ(゚ε゚*)ノって大笑い。
「まぁね、本当は小人ではないらしいんだけど。線の中をビリビリ!って、電気が伝わっていくのは、本当。((たぶんね。合ってるよね?))それと同じでさ、〇〇ちゃんが1人いじけたり、泣いたり、怒ったりしてしまったら、みんなにそれが、ビリビリ!って伝わって、みーんな嫌な気持ちになったり、泣きたくなったり、怒りたくなったりするわけさ。なんか、わかる??」
「うん!わかった!デンセンするってことでしょ!」
((デデデデ・・・デンセンなんて知ってるの?))
この日、小人説で一緒に笑ったのをきっかけに、私はこの子と今までよりも仲良くなれた気がします(*´ω`*)