子ども達と関わっていると、目に見えない「感覚」を伝えないといけない場面も多くあります。
例えば、速く走るためには膝を腰付近まで上げると良いという目に見える判断もあれば、目にないことを判断し、伝えないといけないことがあります。
例えば悔しいという感情で言えば、年中さんから年長さんになると、他人への興味がより強くなったり、数の知識がついて、『一番』が嬉しいということを覚えるため、勝ち負けについてこだわりが出る子が増えていきます。
そのため、運動あそびでは身体だけではなく、心の成長も促すことを目的に、時には勝ち負けがある遊びも年齢に応じて積極的に取り入れていきます。
先日も運動指導に入っている園の年長さんクラスで、勝ち負けがあるゲームを行ったのですが、大きく分けて、このような反応を子ども達に見られました。
- 勝った嬉しさでテンションが上がる子
- 勝ったことは嬉しいが、上手く感情を表に出せない子
- 負けた悔しさで泣いてしまう子
- 負けた悔しさでもうやらないと言う子
- 負けた悔しさを相手にぶつけてしまう子
- 勝っても別になんとも思っていない様子の子
- 負けても別になんとも思っていない様子の子
大きく分けてですが、勝敗に対して子ども達の中でも反応はバラバラです。
あなたのお子さんはどれに当てはまりますか?
なぜ、今伺ったかと言うと、親という立場で目に見えない感情という感覚を伝える場面も少なくないと思うからです。
今回は勝ち・負けという勝敗について話しますが、勝敗というものだけでも、
勝つことだけが全てか?負けはダメなことなのか?勝ちにこだわらないといけないのか?適当にやって負けていいのか?勝ったら嬉しい、負けたら悔しいと必ず感じないといけないのか?
といった心の感覚を伝えることがあると思います。
先ほど話にあげた園でも、勝ち負けに対してたくさんの反応が見られ、指導者として勝ち負けについての心の向き合い方を子ども達に伝えたいと思いました。
しかし、ここで問題です。笑
以前であれば、負けて悔しいという気持ちは悪いことではなく良いこと。次は勝てるようにまた頑張る気持ちを作ることが大事。
といったことを伝えていたのですが、ここ数年は勝ちと負けに執着しない子の割合が増えてきたように感じます。
では、そういった子に勝ったら嬉しいんだよ!負けたら悔しいんだよ!という感情を、先生という立場からある意味、強制的に伝えることは正しい声かけなのか?という疑問が僕に浮かびました。
なぜなら、この勝ち負けという競争心というものは、「性格的要素」が影響していると言われているからです。
つまり、生まれ持った性格が大きいというわけです。
もちろん環境によって変化させることもできますが、感じ方も子ども達の個性というわけです。
冒頭であげた、勝っても負けても強く反応しない子というのは、視点を変えれば、心の中が平和で争いを好まない優しい気持ちを持っていると言えます。
それなのに、勝ったら嬉しい、負けたら悔しいを押し付けるのは、「このパスタ絶対美味しいから食べなさい!ほら、美味しいでしょ!?」と無理矢理こちらの感情を押し付けているようなものだなぁと思うのです。
なので、勝つために頑張る姿や負けて悔しさを感じることはどちらも大事だと伝えながら、何より勝敗という結果に左右されずとも
今、自分は一生懸命取り組んだのか??
このことが一番大切だと、伝えるようにしています。(子ども達の言葉に置き換えて)
僕自身、伝え続けている内容は大きく変わっていないのですが、「勝敗についてまだ興味が湧かない子がいる」と改めて頭に入れることで、頑張っている過程により目を向けられるようになりました。
いろんな子、いろんな性格、いろんな個性がある中で、本質的な大事なことを伝えていきながら、子ども達それぞれに合った声かけができるように、常に自分の声かけを振り返りながら関わっていきたいなと思います。