サッカースクールで指導を続けていると、ふとした瞬間に子どもたちの成長を感じる場面に出会うことが多くあります。最近、ある子が見せてくれた成長のエピソードは、私にとっても感慨深いものでした。
その子は以前は勝ち負けを特に気にせず、試合中も淡々とプレーしていました。勝っても負けても表情に大きな変化はなく、ただボールを追いかけている様子でした。ところが、最近になってその子が試合に対して少しずつ感情を持つようになったのです。勝ったときには満面の笑みで喜び、負けると悔しさから涙を見せることもあります。
この「嬉しい」「悔しい」という感情は、サッカーへの愛着や競技心が芽生えた証です。そして、こうした気持ちが、さらに上手くなりたいという意欲につながり、日々の練習にも一生懸命取り組むようになっています。その結果、ボールコントロールも以前に比べて格段に上達し、プレーにも自信が見えるようになりました。
私は、こうした変化を間近で見守れることに喜びを感じるとともに、サッカーが子どもたちの心の成長を引き出す素晴らしいスポーツだと改めて実感しています。
子どもの成長を支える「3つの刺激×生活環境」
こうした成長を促すために、私は「心への刺激」「脳への刺激」「身体への刺激」の3つを意識し、子どもたちに向き合っています。この3つの刺激があることで、サッカーを楽しむだけでなく、子どもたちが心身ともに大きく成長していくと感じています。
- 心への刺激 〜 勝敗に対する感情の成長
サッカーには常に勝ち負けがつきものです。試合で勝てば喜び、負ければ悔しさを感じるのは自然なことです。こうした感情を経験することで、子どもたちは「勝ちたい」というモチベーションや「負けたから次はこうしよう」という成長への意欲が高まります。また、試合に負けてもサッカーそのものを楽しむ気持ちを育むことで、プレーに対する前向きな姿勢が生まれるよう心がけています。
- 脳への刺激 〜 戦術や判断力の成長
サッカーは単に走ったり蹴ったりするだけではなく、戦略や判断力が求められるスポーツです。試合の中で「どうすれば相手に勝てるか」「どのタイミングでパスを出せばチームにとって有利か」などを自分で考える力が重要です。この「考える力」が身につくことで、サッカーのプレーがより効果的になり、また試合の流れを読む力も育まれます。こうして戦術やプレー判断を鍛えることで、チームプレーの中で自分がどう動けばいいかが分かるようになってきます。
- 身体への刺激 〜 サッカーに必要な体力と動き
サッカーは激しい運動量を伴うスポーツであり、素早い判断力と反射的な動きが求められます。サッカーに必要な体の使い方を覚えることで、走る・止まる・方向転換するなどの動きを効率的に行えるようになり、試合中でも体力を持続させることが可能です。子どもたちが自身の身体を適切に動かせるようになれば、サッカーをより楽しむことができ、プレーに自信が持てるようになります。
生活環境の安定がサッカーの成長を支える
これらの3つの刺激を最大限に引き出すためには、「食事・睡眠・休息」の安定が重要です。例えば、朝ごはんを食べていないと試合中に力を発揮できなかったり、夜更かしで集中力が欠けてしまうと、サッカーのプレーに影響が出てしまいます。十分なエネルギーと安定した心を維持するためにも、規則正しい生活習慣が欠かせません。
サッカーは心と体の成長を促すスポーツであり、私は子どもたちが「楽しい」を超えて「もっと成長したい」と感じられるような環境を提供し続けていきたいと思っています。