運動あそびとは、一昔前なら遊びの中で自然に身につけていたような運動スキルを、「発育発達」や「脳神経系」の観点から考え、そして誕生した運動プログラムです。
サンビスカス沖縄では、クラブが誕生した2008年から今日まで10年以上もの間、多くの子供達に運動指導をしていく中で、独自に研究を重ねてしてクラブ独自の運動あそびのカリキュラムを作り上げました。
これを『アミーゴプログラム』と呼んで、沖縄県全域にある多くの幼稚園、保育園に対して、運動指導という形式でご提供させてもらっていますが、ここで培った内容は、サッカースクールをはじめ、全ての子供向けスポーツ教室でも取り入れて活動をさせてもらっています。
さて実は、子供達の発育発達という観点から考えた際、とても興味深いデータがあるのですが、それはスキャモンの発育曲線といわれるものです。
※「スキャモンの発達・発育曲線」(1930年 リチャード・スキャモン博士発表)より作成
このグラフは、人間の成長発育を20歳でのレベルを100%として考え、身体の組織が発達・発育していく特徴を四つのパターンに分けてグラフ化したものです。
そしてグラフでは子供達が年齢を重ねていく中で「一般型」「神経型」「リンパ系型」「生殖器型」の四つのカテゴリーに分かれて成長していくということを表しています。
その成長過程を、生まれてすぐの0歳の状況では『0%』として、20歳までに100%が完成されるということを表しているわけです。(※もちろん多少の個人差はあります)
まず『一般型』ですが、これは「身長」「体重」「臓器」などの身体そのものの成長を表しているものです。
2歳から12歳までの間に緩やかに成長して、14歳ぐらいから一気に大人の体になっていくのが特徴です。中学生ぐらいから急に身体つきが大人に近づいてくるのも、これが理由だと言われています。
そして『リンパ系型』ですが、これは免疫を司るリンパ組織の発育を表します。(扁桃やリンパ節など)の発育を表します。
10歳までの間になんと200%近くも成長していくという特徴的な成長カーブを描き、12歳ぐらいから徐々に落ち着いていくのが特徴です。(子供の頃にかかる病気ってありますからね。)
『生殖器型』とは、いわゆる男性・女性とその性別特有の身体に変化していく時期を表していますは、生後から14歳まではゆっくりですが、その後急激に成長していきます。
そして注目すべきは『神経型』と呼ばれる物の成長です。3歳頃から急激に発達していき、10歳頃には、ほぼ100%発達しきっているのが見て分かると思います。しかも、その成長カーブは急激な曲線を描いており、なんと5・6歳頃には80%以上も成長しているわけです。
要するに、この3歳から6歳の間までに、人間の神経の80%が育っている事を意味し、運動神経や脳神経の土台のほとんどが成長しきっていることを意味するのです。
6歳までには運動神経の80%が作られている?
重要なのはここからです。人間の身体とは不思議なもので、その年齢や発育段階に応じて成長する部分というものが違うというのが分かったと思うのですが。
その時々で、一番成長しようとしている部分に最適な経験をさせてあげることが重要だという事なのです。
ということは、『神経型』というもの加わる、運動神経などと評されるものもそうなのですが、例え、他のものであっても、これらが成長しようとしている時期に、子供達にどんな刺激を与えていたのかという事が、大人になっても影響するというわけなのです。
当然、神経型が最も活発に伸びている時期に、その子供達にとって最適なの経験というのは「神経を刺激する行為」です。
体の隅々まで使った動作、複雑な動きをこの時期で経験しておかないと、それ以降にいくら努力をしたところで、すでに神経系の成長は終わってるわけですから身に着くまでにかなりの時間と労力が必要になるのです。
それにもかかわらず現在の子供達というのは、この時期に一番必要とされるべき『経験』や『機会』が減少している状況です。
よく英才教育と語り、この時期から一つの種目だけを行わせたりするケースもありますが、結果的に偏った運動経験しか体験していないので大人になるとすぐにボロが出てしまうのです。
よくトップアスリートと呼ばれている人たちが、幼少期に色々なスポーツを経験している事は有名な話ですが、これはその時期、その年齢に応じて、最も適した身体経験をしていたからこそ、より高度な技術の習得にもつながっているわけです。
重要なことなので何度もお伝えしたいのですが、神経系の発達は6歳で80%完成すると言われており、『この時期にどれだけたくさんの動きを経験したのか?』という事が、今後 その子供達の運動環境に大きく影響していきます。
私達、サンビスカス沖縄が考える『運動あそび』では、幼児期に伸び盛りの神経系をしっかりと刺激した運動を提供することで、最低限自分の身を守ることはもちろん、学習や運動の飲み込みが早くなる効果が期待できるというわけです。
遊び感覚で体を動かすことが
最高の運動体験
さて次にこのグラフをご覧ください。これは年齢に応じた強化ポイントを示した図です。
※発育・発達パターンと年齢別運動強化方針(宮下充正、他編:子どものスポーツ医学 1987-1988)より作成
身長や粘り強さ、または力強さのような要素というのは12歳から15歳前後がピークになっていることが分かると思います。
子供達の発育発達に応じて正しい運動経験を得るためには、子供たちの成長過程の中で、いつどんなことを集中的に行うべきなのかということを、しっかりと意識して行わないといけません。
そしてスキャモンのグラフでもあった通り、運動神経と呼ばれる物の成長が最も促進される幼児期・少年期、すなわち3歳〜10歳までにやっておきたいことが何かというと、このグラフでも記載されている通り動作の習得です。
この図でも明らかですが、子供が生まれてから10歳ぐらいまでに様々な動作の習得の能力が成長をピークに迎えます。
すなわちこの時期に必要な運動経験とは、様々な動きを取り入れた動作の習得に集中した取り組むが必要であるわけです。
動作の習得は「遊び」から学べる
私たちが運動遊びを提唱したのはまさにそこです。動作の習得ということを目的した際、子供達が最も習得しやすいのは、今の子供たちが失われつつある外遊びから生まれやすいからです。
同じ運動であっても子供達にとって、『遊んでいる感覚で行うもの』と『やらされている感覚で行うもの』とでは動作の習得の効果は格段に違います。
脳科学の分野では、人がスキルや知識を習得する際に、同じカリキュラムを受けているのにも関わらず個人によって習得の差が表れるのは、それぞれの子供達の中で『受容体』と呼ばれるものが開いているかどうかで決まると言われています。
そして、その受容体が最も開くと言われている状況とは、その人自身が楽しめているかどうかという部分になるとも言われているのです。
要するに、たとえ動作の習得が最も適した年齢であったとしても、その運動カリキュラムに遊びの要素がなければ、動作の習得の実現は難しいという事にも繋がるのです。
それにもかかわらず、この時期の子供達にとっての運動の時間はどういったものでしょうか?
ある特定の種目を徹底的に行うというものに終始しているケースはもちろん、大人の常識で子供に怒鳴り散らかしながら運動を行い、子供にとって「させられている状況」も多く見られます。
加えて、学校生活を終えてからも、遊ぶという経験が減少しているわけですから、より動作の習得が困難な環境、または状況になっていると言わざるを得ません。
しかし、これを一言で「今の時代が悪い」というような形で締めくくるようでは、今を活きる子供たちにとってあまりにも不憫な思いでしかありません。
ですが、普段の運動の中で遊びの要素を加えた動作習得に取り組むだけで、その問題が解決されるわけですから、サンビスカス沖縄では、子供達が1日の多くを過ごしている園の活動を通じてアミーゴプログラムを取り入れてもらっているというわけです。
サンビスカス沖縄の運動あそび『アミーゴプログラム』では、そんな遊びの様子を柱に機能的な運動能力を自然と身につけることで、子どもたちが楽しみながら年齢に必要な動きを習得することができるということなのですね。
ぜひ、この記事をご覧になったあなたも…
- 「子供達にとって何が楽しいのか?」
- 「どうやったら楽しめるのか?」
- 「どうすればスリングなのか?」
- 「ワクワクしたり、ドキドキしたり、笑ったり、夢中になったりできるのか?」
そんな様子を常に念頭に置きながら、子供達と向き合ってみてほしいと思いますし、今後もサンビスカス沖縄では、こうした要素を踏まえた運動プログラムの普及をさせていただきたいと思います。
「楽しい」が運動を始める・続けるきっかけに!
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※ただし、スタッフの数に限りがある事と県内全域での活動を行なっている為、日程によっては全ての園への訪問指導ができない可能性がある事を予めご了承ください。