「うちの子、好きなことは夢中でやるのに、苦手なことや興味がないことには全然手を付けようとしないんです」
こんなふうに感じている親御さん、多いのではないでしょうか?
サッカーや部活の練習には何時間でも集中できるのに、勉強や基礎練習、ストレッチなどに対してはまったく集中力がない。笑
子どもが大好きなことに打ち込む姿を見るのは嬉しいけれど、その一方で「このままで大丈夫かな?」と不安になることってありますよね。
でも、そのお悩み、とても自然なことなんです。子どもが「好きなことだけやりたい」と感じるのは当たり前で、成長過程の一部でもあります。
特に小学生のうちは、脳の「報酬系」が優位に働きます。この報酬系は、楽しいことや快感を感じる活動をするときに活性化し、「もっとやりたい!」という気持ちを生み出します。好きなことをしているときに分泌されるドーパミンという物質が、この仕組みを後押しします。
一方、苦手なことやつまらないことをすると報酬系はあまり働かず、楽しさを感じられません。そのため、脳は自然と「楽しい」「好き」と感じることに集中しやすくなるのです。
そのうえ、この年齢だと、理性や計画性、自己制御を司る「前頭前野」がまだ未熟な時期です。この部分の発達が完全ではないため「今やりたいこと」に引っ張られがちになるんですよね。
とはいえ、この前頭前野、小学4年生〜思春期に発達し始めますから、この時期にこそ、周りの大人がちょっとしたサポート(向き合い方)で、好きなことだけでなく、苦手なことにも取り組む力を育むことができる良いタイミングとなるわけです^^
その上で、まず知っておいてほしいのは、苦手なことに向き合う力は、将来のどんな挑戦においても役立つ、子どもにとって大切なスキルだということです。
大人になれば、自分の好きなことだけで生活を送るのはなかなか難しいですよね。どんな仕事でも、やりたくないことや新しい挑戦、壁などがつきものです。
でも、その時に「目標のためなら苦手なことにも取り組める力」を持っていれば、子どもたちはきっと乗り越えられます。
例えば、サッカーが大好きな子どもが、基礎練習やストレッチを「面倒」と感じることがあるかもしれません。でも、これができるようになると、試合で全力を出せたり、もっと相手を抜けるようになったり、足が速くなったり、ケガをしにくくなったりするんだよ、となぜ今やるべきなのかを、しっかりと伝えてあげることが必要です。
つまり、「自分が欲しい未来のために、苦手なことを頑張る意味」を知って、それに日々取り組むという経験が、苦手なことにも取り組める子につながっていきます。
好きなことだけに夢中になれるのは、子どもの純粋なエネルギーの証。でも、そのエネルギーを少しずつ「好きなこと以外にも広げる」サポートをしてあげることで、子どもは大きく成長します。
そして、苦手なことにも向き合う経験が、将来どんな挑戦にも立ち向かえる強さを育てていくのです。
「好きなことだけでは足りない」と感じている親御さんのその悩みが、実は子どもの未来の可能性を広げるきっかけになるかもしれません。
焦らず、少しずつ、一緒にその力を育んでいきましょうね。
それでは、今日はこのへんで!