サンビスカスでは主に、午前中は保育園やこども園に訪問し「運動あそび」の指導を行なっています。
もしかしたら、SNSなどのクラブ活動を通して、ご存知の方も多いかと思います。
最近は、午前中は園での運動あそびで会って、午後は幼児向けのキッズスクールでも会うという子も増えてきました。
それだけ多くの園さんと関わることも増え、子ども達も運動が大好きになってくれていることを嬉しく思います。
またクラブでは運動が好きな子を1人でも増やす活動として、保育園やこども園へ無料で訪問し、運動あそびの普及活動も積極的に行なっております。
その活動を通して
「うちの園で定期的に運動を教えに来てくれませんか?」
と先生方から頼まれることも少なくなく、今年度新たに4つの園と運動あそびを通して関わることになりました。
運動あそび導入のご依頼を受けると、園長先生をはじめ、先生方に『なぜ導入しようと思ったのか』経緯を伺うのですが、そこで面白いことがわかりました。
それは、新たに関わることになった4つの園、全てで体操教室やスイミングなどの「運動系の教室」をすでに導入しているということでした。
例えば、僕は園長先生に聞いてみました。
「すでに運動教室を導入されていると思うのですが、どうして今回運動あそびを導入しようと思ったのですか??」
すると、多くの園から、このようなワードが共通で返ってきました。
「もちろん、他の運動教室も楽しんでいて、子どもたちの体を操作する能力は上がって嬉しいんですが、運動あそびには保育の10の姿に当てはまることが多くて導入したいんです。」
そう仰る先生が多かったのです。
僕も先生方に言われて、自分で調べて知ったのですが、実際に子育てされている保護者の皆さんも知っておいて損はない情報なので、この機会にご紹介しますね。
保育の10の姿とは?
文部科学省が示す「幼児期の終了までに育って欲しい幼児の具体的な姿」で2018年の4月から施工されました。
小学校入学前までに子どもに身につけて欲しい資質や能力をまとめたもので、子ども達の目指すべき姿を明確にし、これは保育園や幼稚園、こども園など共通の目標です。
実は、保育園や幼稚園、認定こども園にはそれぞれ違う保育方針があるのですが、この「10の姿」だけはそれぞれの施設でも共通指針なのです。
育つ環境は違えど、それだけ重要視されている考えなわけです。
それでは、幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿は以下になります。
1.健康な心と体
2.自立心
3.協同性
4.道徳性・規範意識の芽生え
5.社会生活との関わり
6.思考力の芽生え
7.自然との関わり・生命尊重
8.数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
9.言葉による伝え合い
10,.豊な感性と表現
これらが、小学生になるまでに育って欲しい「10の姿」となります。
そもそも、なぜこの10の姿が設定されたのかというと、小学校では
- 「知識・技能の基礎」
- 「思考力・判断力・表現力等の基礎」
- 「学びに向かう力・人間性等」
この3つの柱が大事にされており、この10の姿は、これらの3つの柱が育ちやすいように架け橋のような働きをしているわけです。
確かに運動あそびを行っていると、「多くの項目で当てはまるなー」と感じます。
運動あそびでは、ほとんどのメニューで『体の操作と判断』が必要になります。
具体的にいうと、相手や仲間がいる。ルールがある。制限時間がある。ボールやゴールがある。スペースがあるといった、自分の勝手だけで行えない遊びばかりです。
分かりやすく、子ども達が好きな鬼ごっこだけでも、10の姿の、「1、2、3、4、5、6、9、10」の項目に当てはまります。
しかも僕らは、そこに走り方を制限したり、鬼の人数を調整したり、ボールを持って逃げたり、鬼が走りながら変わったりなど様々な工夫を凝らせて、子ども達に刺激を与えます。
確かにこれらは自分の体だけを操作する運動では身に付きにくい能力です。
ただ伝えておきたいこととして、体操教室は良くない、運動あそびが良いという意味ではありません。
実際に体操教室を行なっている園の子ども達は、自分の体を操作する能力は高い傾向にあります。
どちらが良いかというのではなく、体操教室で自分の体を扱う能力を高めながら、そこにプラスで運動あそびで体を扱う能力を使いながら思考力や協調性を養う。
そんなお互いの良さを活かして、幼児期の子ども達の心と身体の成長を育む環境がもっと増えるといいなと、個人的に思います。
このような指針を明確に打ち出されると「10の姿に近づけなきゃ!」と僕ら大人が主導になって「教える」ことに重きを置いてしまいそうですが、子ども達が自発的に身体いっぱい遊び込める環境を作ることが何より大事だと思うので、そこを忘れずに子ども達と関わっていきたいと思います。