サンビスカス沖縄/サッカー教室/幼児体育指導/保育園巡回指導/サッカースクール
大城 充幹(サッカー協会公認B級コーチ)
「もう毎年、子どもたちの手作りの飾りでいいですね」
子どもたちの手作りの飾りがたくさん飾られている、大きなクリスマスツリーの前で、保育園の先生がおっしゃいました。
僕もそのツリーを見て、本当にそう思いました。
そのツリーのある園は、数年ほど前に、「子どもたちの主体性を育む環境とは?」ということを、改めて考えさせられた機会をきっかけに、自分たちのこれまでの保育環境の見直しを、一から行っている園です。
見直す前の保育環境を振り返ってみると、園の先生が計画した活動をさせることや「これまでしてきたことを、これまでこうしてきたからそうしている」ということが多く、「子どもたちがしたいことや感じたことを表現しようとする気持ちや意欲を受け止めることをしていたのだろうか」「子どもたち自らが責任を持って行動する意欲を高めるための環境の工夫をしていたのだろうか」と反省したそうです。
それからは、「子どもたちが主体的に活動できる環境の工夫」について考え、試行錯誤を繰り返しているそうです。
そして、その一つが「なーんにも飾りつけのされていないクリスマスツリーを、ドーンと置いてみたら」というものなんです。
それまではというと、毎年クリスマスの時期になると、大きなクリスマスツリーを出しては先生たち自らの手で、せっせと飾り付けを行っていたそうです。
キラキラした星や、ピカピカした丸いボールみたいなものや、美味しそうなキャンデイに、今にも音がなりそうなベルなど、飾りをたくさんをつけて園内入り口の玄関前にドーンと置いていたそうです。
もちろん子どもたちも、大きな迫力のあるキラキラときれいに飾り付けのされたツリーを、毎年とても喜んでくれたそうです。
ところが、これまで当たり前にしていたクリスマスツリーに、先生たちが飾り付けをすることを、主体性を意識するようになってから「これは子どもたちの主体性を伸ばすことに繋がっているのか、ということで考えると、どうなのかなあ」と疑問に思うようになり。
そこで、まだなーんにも飾りの付けのされていないままの状態で置いたら、子どもたちはどんな反応をするのか、ということで置いたみたところ。
そのいつもとは違う何も飾りのないクリスマスツリーを見た子どもたちから、自然と
「このツリー、なにもないから、なんかかわいそうだね・・・」
という声が聞こえてきたそうです。
それから「そうだね、かわいそうだね。じゃあどうしようか?」と聞き返してみたら。
「わかった!じゃあ、おうちでなにかつくってくる!」と、一人ひとりがお家で手作りした飾りを持ってきて飾っていったそうなんです。
折り紙で作られた変な顔をしたサンタさんや、バラバラなバランスの星や、凸凹のキャンディーや、もはや何かわからない形のしたもの。
自分一人で頑張って作ったもの。家族に手伝ってもらいながら作ったもの。
お洒落な飾り付けのツリーもいいですが、子どもたちの手作りの飾り付けをまとったツリーからは、子どもたちの顔が浮かび、子どもたちの優しさや温もりを感じることができます。
子供たちが主体性を持って行動できるように、先生方が一生懸命考えたのが、「何もないツリー。」
それは、子供たちの手によって、優しと温もりに包まれた素敵なクリスマスツリーに変身した姿を見て、本当にすてきなツリーだなと、改めて感じました。
僕自身も、今後子供たちの自主性を持って行動できるような環境を、創造していきたいと思います。