from 宮城哲郎
うちのサッカースクールの名物練習がある。
それは「ドリブルで全員抜き」の練習だ。
「自分VS自分以外」
この練習、やって頂いたらわかると思うのだが、
かなり盛り上がる練習である。
この練習の良い所をいくつか挙げるとすると。
- 基本的に「全員抜きチャレンジの成功者」はほとんどいないので、サッカーが上手い下手など関係なく、子供達は積極的にチャレンジする。
- 全員が練習に参加するので、順番待ちという存在がいない。
- ドリブルに対しての「チャレンジ精神」が旺盛になるので、試合でも積極的にプレーをするようになる。
このようなメリットがある。
この練習は不思議な物で、なかなか誰も成功しない時間が続く。
よって一人でも成功者が出ると、みんなで盛り上がるので、
その日、1日はずっと子供達は「ドリブル」ばかりやりたがる。
この練習の風景を見ていると、
最近、大人が忘れかけていた「ある事」について思い出す。
子供は勝負が好き
子供達は本当に「勝負」が好きだ。
ジャンケンしかり、鬼ごっこしかり、この全員抜きもしかり。
何かをプレイ(play)する際には、必ず勝負をしたがる。
勝ったら喜び、負けたら悔しがる。※時には泣く子も…
何度、負けても「もう一回」
そう言って、どんどん夢中になっていくその姿は。
僕らが忘れかけていた事を思い出させてくれる。
それはチャレンジ精神だ。
「勝ち負け」の本当の意味
大人になると「負け=失敗」そんなイメージがついてしまい、
どうしても、「負けや失敗の要素」を避けがちだ。
だが、子供達にとっては「勝ち」も「負け」も、
自分達の夢中の範囲にある。
要は「勝ち負け」と失敗が切り離されているのだ。
その要因は「失敗=駄目」という感覚が無いからであり、
逆に「失敗が悪い事ではない」と思える状況に対しては、
子供達は凄く夢中になる傾向がある事に気付かされる。
それこそが「勝ち負け」の本当の意味ではないだろうか。
よく、「勝ち負けは重要じゃない。」
そういうフレーズが聞かれるが。
子供達にとって「勝ち負け」は重要だ。
※もちろん僕らにも。
ただ、だからと言って「負け(失敗)=駄目」という感じになる必要も無い。
負けや失敗というのは、その子が、
本当に欲しい勝利を得る為のただのプロセスなのだ。
子供達が一番に欲しい物を手に入れる為に…
人の現在は、これまでの過去のプロセスから出来ている。
そうであれば、僕らはもっと、彼らに対して。
勝利という結果を手に入れてもらう為の、
負けや失敗という成功のプロセスを歩んでもらう環境も、
提供してあげるべきではないかと思う。
人は、人生の中で「夢中になれるもの」を見つけたら、
毎日が凄く幸福だ。
このような夢中になれるものを手に入れる為には、
勝ちも負けも、成功も失敗も全てプロセスとして楽める必要がある。
せっかく、サッカーという競技に出会ったのだから、
子供達にはもっと「夢中」になるまでのプロセスを与えてあげれたら…
そんな事を思った一日だった。
それでは…