運動で仲の悪さを解決してとお願いされました

僕は保育園やこども園の運動指導だけでなく、放課後等デイサービス(児童デイ)にも運動遊び指導を担当しています。

現在は県内で8施設の児童デイの子ども達に運動を通して関わっています。

運動遊びを導入した初めの頃は、集団遊びや運動が苦手で全く入れなかった子が、今では笑顔で楽しんでいたり、学校の体育はあんまり好きじゃないけど運動遊びは大好き!といった嬉しい声を聞くことも増えてきました。

この運動遊びの時間が、子ども達にとって自信を得られる時間や活躍できる居場所になっており、僕自身も嬉しく思います。

ただ正直に言うと、児童デイに通う子ども達は運動に対してマイナスイメージを抱えている子が多く、身体を動かすことが大好きな保育園やこども園の子達とは違う指導の難しさがあります。

そのため障がいの特性もそうですが、より一層その子達ひとりひとりに合わせた運動強度や声かけが必要になってきます。

ですが、マイナスイメージを持っているからこそ、運動を好きになったときの生き生きした表情の変化が僕のやりがいにもなっています。

そんな中、とある児童デイさんと運動遊びを通して新たに関わることになりました。

その施設は高学年の子が多く集まっている施設でした。

全体だと12名で内訳は、5・6年生が7名、3・4年生が5名で男の子が8名の中に女の子が4名といった内訳でした。

僕は運動あそびの導入について施設長の方に、

「運動を通して、困っていることや解決したいことはありますか??」

メニュー構成の参考にこのように聞いてみると、

「実は、気が強い子が多くてお互いの仲が悪くて、すぐに言い合いになるので運動を通してチームワークとか協調性が育めたらと思っています。」

そう教えてくれました。

こちらの施設とは月に一度の運動指導ではありましたが、他の施設以上に「ペアで行うメニュー」や「チームで協力するゲーム」を増やし、チームワークや協調性が必要な場面を多く作りました。

すると、ある日の運動遊びのことでした。

3チームに分かれ交代ずつ、5色あるマーカーを先に揃えるというゲームを行なっているときでした。

1つのチームから、

「早く赤のマーカー取れ!」

「違うバカ!あっちのチームから取れって言っただろ!」

「お前が迷っているから負けただろ!」

このような伝え方をするチームがいました。

現在行なっているゲームを終えて、2回戦に向けて作戦タイムで話し合う時間を設けました。

僕はそのチームに対して「マーカーを集めようと頑張っている味方に対して、そんな言い方して頑張れそう?」と問いかけようと思いました。

児童デイの中では、相手の気持ちを察し必要な行動を取るといったプログラムの時間が存在するため、相手の気持ちを考えるような声かけをしようと思ったのです。

しかし、僕の中で違和感がありました。

なぜなら瞬時に状況が変化する遊びの最中で、更に勝敗が左右する感情が高まりやすいゲームの中で、一瞬で相手の気持ちを察して適切な言葉をかけることは簡単なことじゃない。

という疑問を自分自身に感じたからです。

更に加えると、命令口調で伝えていた高学年の男の子は、言っていること自体は合っているのです。

勝つためにどうすれば良いのかと考え、その子なりの答えを味方に伝えていることは間違いではないわけです。

つまり僕が注意しないといけないことは、言っている内容ではなく伝えている言葉の使い方だと思いました。

これらを踏まえて、僕なりの適切な言葉の考えについて子ども達に伝えてみることにしました。

それは、「アドバイス」と「命令」の言葉の定義について僕なりの考えで、その子に伝えました。

補足として、辞書によると、アドバイスとは助言や忠告という意味で、命令とは上位の者から下位の者に言いつけることのようです。

ただこれだと、どんなときにアドバイスや命令を使うのかがわかりません。

そのため、「相手の状況を考えて伝えることがアドバイス」で「相手の状況を考えないで一方的に自分のして欲しいことを伝えるのが命令」というように子ども達へ伝えました。

最後に、このゲームはアドバイスをたくさん送って欲しいゲームです。そのように伝えて2回戦に入ると、子ども達の口調が変わったのです。

 「(指を指して)あっちのチームから、黄色のマーカー取ってきて!」

「おれがあのチームから青色マーカー取ってくる!」

「いいね!ナイス!!」

このような前向きで、相手を思いやった上での言葉が増えたのです。

もちろん、このゲームだけでそれ以外の時間も全てが改善されたという訳ではありませんが、これからも運動を通して、子ども達が身体だけなく心の成長に繋がるようなアドバイスが送れたらと思います。

言葉の使い方で、相手の気持ちを高めることも沈めることも可能だからこそ、子ども達だけでなく大人の私たちも伝え方について大事にしていきたいですね。

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