サンビスカス沖縄/サッカースクール/幼児体育指導/運動遊び/
知念 悟
僕が運動遊びを提供している園の園長先生と、先日こんな会話をしました。
園長先生が
『先日、園でマラソン大会をしたんです。そのときにAくんが、転んじゃって。サトル先生、Aくんはどんな反応したと思います??』
と尋ねてきたので、
『運動遊びの中で、3歳児のAくんのことを見ていると、転んでしまったとき、よく泣いちゃっているので今回も泣いてしまったんですかね??』
と、僕が答えると、園長先生はこのように教えてくれました。
『それが、泣かないで立ち上がってひとりでゴールまで走ったんです。そのAくんの姿に私感動しちゃって。
最後のマラソン大会の締めの挨拶で、今日は自分の力だけでゴールをできた子、みんなが一位です。
とっても感動して、みんな凄いと園長先生は思いました。
みんな、自分で自分のことを褒めてあげてくださいね。
そう、みんなに伝えたんです。』
そんな心温まる話をしてくれました。
ちなみにそのマラソン大会は保護者が見守っている中ではなく、園児と先生たちだけで行った園行事でした。
そのため大好きなお父さん、お母さんからの声援の力ではなく、Aくんの自分の力だけで立ち上がった姿に感動したと話してくれました。
僕が感動したのはこのAくんの出来事もそうですが、このあとに園長先生の保育に対する思いでした。
『私はね、サトル先生。
もちろん足が速い子が1位なことも、褒めてあげたいんです。
でも、目に見える結果も大事ですけど、その子が「昨日の自分、その前の自分よりも成長しようとする姿」に価値があると思っているんです。
さっきのAくんは過去の自分を乗り越えたことが嬉しくて最後の挨拶で褒めてあげたかったんですよね。』
そのようにお話をしてくれました。
この園長先生の話を聞いて、僕は率直に嬉しく思いました。
なぜなら、サンビスカスは「結果よりも過程を大事しよう」この考えをクラブとして大事にしているからです。
失敗を恐れずに勇気を持って挑戦することを応援したいのです。
結果はその過程を積み上げたことの出来事であり、相手や環境など自分だけではコントロールできるものではないので、結果だけで判断されるのは心が窮屈になると思うんです。
もちろん勝つことや結果を求めることは成長を伸ばしてくれる感情だと思いますが、その勝負までの過程を楽しめる人の方が、最後には欲しい未来も手に入りやすいのかな。
そう思ってます。
そんなクラブの理念と似た園長先生の言葉に、サンビスカスの価値観に近い先生達に囲まれて、運動遊びを届けられていることを幸せなことだと思いました。
サッカースクールでも、園で関わる子ども達でも「十人十色」なんてよく言ったなぁと思うくらい、いろんな子ども達がいます。
たくさんの個性と関わる中で、私たち教育者は、その子が前よりも成長しようとする姿や瞬間を見逃さずに、すぐに褒めてあげることが大事なんだと思っています。
失敗した出来事も、なかなか上手くいかなくて遠回りをしてしまっているときも、無駄な過去ではなく、欲しい未来を手に入れようと取り組む姿勢に「前向きになれる背中を押す言葉」を送れるような人でありたいと、園長先生の話を通して感じました。
遠回りも楽しいと感じられるほど、チャレンジすることへの素敵さを伝えられるように、まずは僕自身が「昨日の自分」より成長できているかどうかを自問自答しながら、日々を積み重ねて、指導者やひとりの大人として、言葉に思いを乗せられたらと思います。