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大城 充幹(サッカー協会公認B級コーチ)
前回のブログで、サッカーが行われている環境で、体罰・暴言の問題がさまざまなところで起きていて、なんとかしようと日本サッカー協会でも、さまざま取り組みを行っているということをお話ししました。
前回の記事はこちら:関わりのあるすべてを大切に思うこと
暴力・暴言問題は減っていない。
でも、暴力・暴言問題は減っていないとも言われています。
先日も、小学生女子バレーボールチームで問題が起きてしまいました。全国大会にも出場したことがあるチームだそうです。(いま表沙汰になっているのは氷山の一角だと思います。)
2人の女の子が、夜のグランドを走らされ、頭を平手打ちにされたということです。
指導者は、その理由を「練習に集中していなかったため、喝を入れるために叩いた。軽く叩いた程度だった」と話しているそうです。
本当に許せないです。
きっと、その指導者は「子供たちのためを思って」やったことと思っていると思います。
さらに、チームの保護者がその事実を外部に漏らさないように他の保護者に署名を迫ったそうです。
本当に悲しくなります。
きっと、そういう保護者も「子供たちのためをおもって」やったことと思っていると思います。
保護者会でのやり取りも記載されていたので、あえて、いくつかここに書きたいと思います。
- 二度と告発が起きないように署名と捺印をしてください。県小連・日小連に報告する人は退部してください。
*体罰を受けているのは子供たちも分かっている。監督の言うことを一回で聞けば、そうはならない。体罰の何が悪いのか。
- 全国大会に行くために練習している。
*学校だったら横社会だけど、社会体育は縦社会。下が上に教わるとか、社会に出るための第一歩を教わるのが社会体育だ。
と言っていたそうです。
子どもを守ってあげるべき保護者までもがそう思ってしまっている
他にも「そのくらい、自分も子どものころもされたけど、そんなの普通だよ」と、そんな考えをもっている大人も多いと思います。
これでは現在の状況を変えることは難しいですよね・・・。
現状を変えていくためには、一人でも多くの大人が、「なぜスポーツの現場で、暴力行為が起こってしまうのか?」その要因や、体罰の問題点などを知ることが大事だと思います。
で自分の考え方と照らし合わせみて、間違った考え方をしていると気づいた場合には、その事を受け止め、「本当に子どもたちことを思う行動に変える」ことしかないと思います。
体罰の原因と問題点
【なぜスポーツの現場で、暴力行為が起こってしまうのか?】
- 指導者の感情が別の要因で(仕事でのストレスを抱えいるなど)イライラしている
- 指導したことを選手が実際にできないことに腹を立てている
- 選手側の態度・姿勢等(選手が反抗的な態度を表明、集中していない等)が気に食わない
- 好成績を収めなければならないというプレッシャー(自分の立場を守るため・選手や保護者、そして学校やクラブにとって、いい指導者の基準が「勝つこと」になってしまっている)
- 選手同士、先輩後輩の関係による悪しき習慣
- 日本人の精神風土 ※選手・保護者の中にも体罰を寛容に受け止める精神風土がある
などの要因があると言われています。
今回、バレーボールチームで起きた問題の背景にも、この要因がいくつも当てはまっていますね。
【体罰の問題点】
- 体罰は、それをしている大人の感情のはけ口であることが多い
- 体罰は、恐怖感を与えることで子どもの言動をコントロールする方法である
- 体罰は即効性があるので、他のしつけの方法がわからなくなる
- 体罰は、しばしばエスカレートする
- 体罰は、それを見ているほかの子どもに深い心理ダメージを与える
- 体罰は、ときに、取り返しのつかない事故を引き起こす
ときには体罰も必要と考えているかぎりは、体罰は無くならないですね。
暴力による指導、その結果相手の心に残る心身の傷は?
暴力による指導によって、それを受けた相手の心には、
恐怖心・苦痛・悔しさ・不信・恐れ・恨み・怒り・不快・緊張・憎しみ・不安・羞恥心・嫌悪・劣等感・無力感・逃避・抑圧など。
このように、負の感情ばかりしかありません。子どもたちに悪影響しか及ばさないんですね。
僕は、子どもたちがサッカーに集中できていなかったり、指導したことができなかったりすると、自分の指導、教え方のせいで、それは指導者の責任で、ミスをしたことの怒りの矛先を子どもに向けるのは間違ったことだと思います。
もちろん、問題意識をもって昔ながらの指導方法に疑問を抱き、新しく出てくる指導のあり方・考え方を取り入れている人がいると思います。
しかし、問題意識をもっているけど、現状を変えたくないとそれを否定する人もいると思います。
また、ただ単に「知らない」というだけで、今までの自分の見てきた指導方法、経験や体験した指導法が正しいと思っている人も多いと思います。
残念ですが、現状を変えたくない人を変えることは、とても難しそうです。
でも、知らない人に「こんな指導の考え方もあるよ」ということを知ってもらうことはできそうです。
子どもたちが安心して安全に大好きなサッカーを楽しめる素晴らしい環境にするために、これからもさまざまな指導方法を学び、その学んだことを共有していけたらと思います。