サンビスカス沖縄/サッカースクール/幼児体育指導/運動遊び/
知念 悟
ある日の年中さんと行ったアミーゴ(保育園巡回体育指導)のことです。
いつもは僕が決めたメニューを子どもたちに伝えて、一緒に楽しく運動あそびをしようという時間になっています。
例えば、、、
今日は鬼ごっこしまーす!
今日はボールのキャッチを頑張ろうか!
といったように最初から僕の方でメニューを決めて、その取り組みを遊び感覚で楽しみながら、子どもたちに必要とされている動作の習得を目指しています。
そういった運動あそびの時間がほとんどなのですが、たまには!と思い、これまでとは全く違うアプローチで子どもたちに伝えてみました。
それは、
「今日先生が持ってきたボール、マーカー(サッカーなどで使われるマーカーコーンのこと。)を、みんなに貸します。好きに使って自由に遊んでいいです。でもボールもマーカーもひとり1個はないので、話し合ったり協力して使ってください。」
といった説明をしました。
最後に、
「もしケンカしちゃったらサトル先生のところにおいでね。一緒に話をしよう。」
とだけ伝えてみました。
僕がメニューを決めて行なう運動あそびの流れに慣れた子どもたちが、どのように工夫して取り組むのかを楽しみに僕も見守ることにしました。
すると、子どもたちにさまざまな反応が見ることができました。
- どうぞの合図に、いち早く走り出してボールを取ろうとする子
- 周りの動き方の様子を見て動き始める子
- ボールには目を向けずにマーカーを選ぶ子
- ひとりボールで遊ぶ子もいれば、友達を誘って一緒にキックをしている子
- 友達とやり方を話しながらマーカーでケン、ケン、パーができるように並べ遊ぶ子
他の場面でも、どうしたらいいかわからない子に対して、一緒にやろう?といった優しい声かけを送ってくれる場面も。
別のある子は、ひとりで遊んでいるところに遊ぼうと声をかけられ、いまはこの遊びをしているから大丈夫。と丁寧に断っている場面も。
誰かに声をかけられることも優しくて素晴らしいことですが、この子のように自分のしたいことをちゃんと相手に伝えられることも同じように大切だと思いました。
それにひとりだけで遊べるということも凄いことですよね。
先生方も子どもたちだけによる取り組み方を暖かく見守ってくれ、すごく優しい空間だなぁと感じました。
あらためて子どもたちひとりひとりの個性を知ることができ、僕が思っていた以上の充実した時間を過ごすことができました。
ただ、そのときでした。
友達と協力してマーカーを使ってケン、ケン、パーで遊んでいた子たちから泣き声が聞こえてきました。
ケンカが起こったのです。
すると、最初にケン、ケン、パーで遊んでいた2人の女の子ともう1人の女の子が僕のところにやってきました。
話を聞いてみると、2人で遊んでいたマーカーを後から来た子が自分も遊びたいという理由で全て奪い取ってしまったようです。
その子たちの話をゆっくりと聞きながら、先生のマーカーを独り占めしてよかったのか?
遊んでいて取られた子たちの気持ちや同じことをされたらどんな気持ちになるのか?
その子を否定する言葉ではなく、同じ立場になって理解してもらえるように話し合いをしました。
最後に、どうしたらよかったのかな?と僕が聞いてみると、
一緒に遊んでいい?
と最初に遊んでいた2人に伝えることができ、その子のお願いに対して、
一緒に遊ぼっ!
と返事をして手を繋いでマーカーのある場所に戻っていきました。
すぐに仲直りをして、笑顔で遊んでいるその子たちを見ると、子どもたちにおいて必ずしもケンカがダメなものではない。と感じました。
自由な遊びの時間から得られたこと
今回の自由な遊び時間を取り組む子どもたちを通して、たくさんのことを僕も気づくことができました。
自由にすることで子どもたち自身で遊び方を考えるため、創造力を養うことができること。
ルールを守ったり、互いに助け合ったり、譲り合うことで協調性を育めること。
自分の思いや考え方を表現することの大切さ。
誰かと気持ちがぶつかったときに、解決の仕方を経験できること。
もちろんいじめのような嫌がらせはダメな行為で止めるべきことですが、ケンカを体験するからこそ得られる経験や成長があるのだと、あらためて感じました。
いろんな子たちが集まっているサッカースクールや学校生活、またはきょうだい関係などでも言えると思うのですが、安全だけは確保して自由に遊ばせることで生まれるアイディアや感情を見守る時間を作ることも、子どもたちの成長の手助けにおいて大切なことかもしれません。
例え、幼児期であっても子どもたちの中に社会があって、自分の遊びたいことを選択して伝える自己表現の方法や誰かと協力しながら、ときにはぶつかって周りと適応していこうとする姿はすごいなぁと思いました。
大人でも難しいことですよね。
子どもたちの姿を見て、僕もより一層頑張ろうと思わせてくれました。