天才の育て方

from 宮城哲郎

サンビスカス沖縄のみんなへ…

 

先日、何気なくテレビを見ていたら
『天才を育てる方法』という主旨の、
子育てに関する番組が放送されていた。

 

番組では、まだまだ幼稚園生ぐらいの子から、
小学生ぐらいの子までが特集されていて。

 

スポーツや英会話など、さまざまなジャンルで、
大人顔負けの将来を期待されている子供達が特集されていた。

 

今日は、そんな番組で感じた事を、
みんなにシェアしたいと思う…

 

多大な犠牲の先に…

番組では一人の天才卓球少年が特集されていた。

 

この子は、若干10歳にも関わらず、
物凄く実力のある子で。

 

年上の世代の選手達にも負けず、
なんと上の世代の代表選手にもなった子だ。

 

番組で特集されていたのは、
その子の類い稀な才能だけでなく。

 

彼が、その実力を身につけるまでの
努力の姿にまでフォーカスされていたのだけど。

 

これが、またとてつもない練習量だったんだよね?

 

学校を終えると直に練習を開始して、
なんと夜の10時までトレーニングを続ける。

 

しかも、コーチもわざわざ卓球王国でもある、
中国のコーチがついているという徹底ぶり。

 

テレビで見ていても、物凄いハードな練習で、
多分、僕なら30分程度で値をあげるような内容。笑

 

「おい!こんなんで世界一取れると思ってんのか?」

「やる気ないなら、辞めてしまえ。」

「ちゃんとやるまで、終わってあげない。」

 

このような厳しい言葉が飛び交う中でも、
本人は必死でくらいつき練習を続ける。

 

あまりのキツさに泣きながらやってるんだけど、
それでも「世界一」という目標があるので辞めようとはしないんだ。

 

だって、彼の目指す先の選手達は、
もっとやっているということらしいからね。

(※中国では、才能のある子は週に2、3回にしか学校にいかず、
それ以外はずっと練習してるらしい)

 

これは、僕がいたブラジルという国でも同じだった。

 

才能のある子は、早くから親元を離れて、
プロの下部組織に入団し、未来の代表選手を目指して必死で努力をするんだ。

 

それなのに、結果を出せなかったらチームをクビになって
親元に帰されたりする事も日常茶飯事でさ。

 

日本では中学生ぐらいの年齢の子供達が、
この様な厳しい現実の上に立たされていても。

 

それでも、世界一になることを夢見て、
いばらの道を進んでいくんだよね。

 

こういうことを考えると、世界一になるという事は…。

 

とてつもなく、多大な犠牲の上にあるものなんだと感じた瞬間だったし。

 

逆を言えば・・・

 

たくさんの物を犠牲にして、目の前の子達を鍛え上げる事ができたのなら、
きっと勝てる選手を育てる事ができる可能性も高いということだね。

 

さて、ここまで話した上で、みんなに聞きたいことがあるんだ。

 

この事について、みんなはどう思うだろうか?

 

ちょっと考えて欲しいんだ。

 

子供の夢?大人の夢?

サンビスカス沖縄を立ち上げた時に、
ある小学校のサッカーチームを指導する機会があったんだけど。

 

この時のチームのある保護者にこう言われた事がある。それは・・・

「この子達が強くなって優勝したら、どんなに嬉しいだろうか?

 宮城さん、どうやったら子供達は優勝できますか?」

という質問で。

 

そこで僕が答えた内容はこうだ…

「世の中には絶対というのはないので、これが完璧だという答えではないですが、子供達がぶっ倒れるぐらい走り込ませて、何時間もボールを触らせたら、きっと県内では優勝を争うぐらいのチームになると思いますよ?」

と答えたんだよね。

 

なぜ、この答えが出たのかというと、
ちょうどこの年の全国少年サッカー大会の
決勝戦に出場したチームが。

 

毎日、最低でも10キロ走るというような
練習量をこなしていると語っていたからでさ。

 

実際に、そのチームの日々の練習メニューを調べて、
メモして、その保護者にこう言って渡したんだ。

 

「これが、全国で1、2を争うチームの練習メニューです。僕は、まだサッカーをやったばかりのこの子達に、このメニューをさせる勇気がありませんので、ぜひ、子供達と相談して、お父さんがこのメニューをさせてください。きっと強くなると思いますよ?」

とだけ伝えて渡したんだよね?

 

結局、その後はどうなったと思う?このチームでは、
僕が渡したメニューが実行されることはなかったよ。

 

だって、子供達がそれを求めていなかったのだから。。。

 

確かに、自分の関わっている子達を強くしてあげたいという想いもわかるし、
それは指導者みんな同じ気持ちだろう。

 

でも、それでも世界一を目指す為の道のりに、
子供自身が乗っからないと結局は続かないんだよね。

 

むしろほとんどの場合、燃え尽きてしまって、
二度とその競技に関わらないという事も普通におこる。

 

子供の声に耳を傾ける

そう考えた時に、僕がこの番組をみて一番に懸念したのは。

「番組の様な練習方法をやれば世界一になれるんだ?」
なら、自分の子供にもさせてみよう。

ということを大人が安易に考える事だ。
だって、そこには本人の意思が全く無いわけだからね?

 

別にプレイヤーファーストみたいなことを
偉そうに語りたいわけでは無い。

 

むしろ、本当に勝ちたいのなら厳しい練習が必要なのも、
これまでの自分の経験からも知っている。

 

だけど、それでも子供に火がつかないと、
それは大人のエゴに終わる。

 

となると、僕等の様な、
子供達に教える仕事をする立場の人間というのは。

 

もっと、目の前の子供一人一人の、
声を聞くという仕事を追求する必要があると思わないだろうか?

 

「最近の若者は、勝負へのこだわりがない」

「最近の子供は、すぐに根をあげる」

 

そんな事が言われている時代だけど、
果たしてそうだろうか?

 

今回、僕がこの記事を書いたのは…

 

「どの価値観が大切なのか?」
というような事を言いたいのではなく。

 

子供達の教育者として、常に問題意識をもって
取り組む姿勢が大切だということなんだよね。

 

こういう答えのない物に対しての仕事をしている僕等は、
本当に責任のある立場に立たされていると思う。

 

だけど、人生を生きている中で、
こういう責任感のある日々を過ごせる事というのは。

 

実は、多くの人に与えられているわけでもない。

 

そういう意味でも、僕等は常に学び続けなければ行くことが大切なんだよね。

 

ま、このように偉そうに語っている僕でも、
自分の子供達の教育すらも完璧に出来ていると思っていないので。

 

お互いに、日々精進していきたいもんだね。

 

という事で、今日もたくさんの子供達の為によろしくお願いします。

 

宮城哲郎

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