動作のバリエーションが上達につながる

「小さい頃は、ひとつの種目をさせるより、たくさんのスポーツや遊びを行うと、脳にも体にも良い影響がある」

サンビスカスでは、ずっとこのことを大切にしながら、子どもたちや保護者の方々と接しています。

なぜかというと、人の「神経系」は、6才には90%も完成してしまうからこそ、さまざまな動きを、6才までに経験させることが大事だと考えるからです。

とはいえ、今は子どもたちだけで、運動習慣を作ることが難しい時代です。だからこそ、私たちクラブが、子どもたちの「運動環境」を日常の中に作ってあげることが大事なのではないか。そう考えるようになりました。

そこで誕生したのが、県内の保育園に巡回して行っている運動遊び『アミーゴ』や、4才〜6才対象の『キッズスポーツスクール』です。

これらは、幼児期にたくさんの運動経験をしてもらうために、子どもたちが自らやりたくなる『遊び』の要素を軸に取り入れて、さまざまな動作習得を促す独自のプログラムで、もう15年ほど前からスタートし、毎年アップデートを重ねています。

沖縄県内でも、保育園・こども園・幼稚園・児童デイサービスなど、現在35園もの施設に、サンビスカスの運動あそびを導入していただいております。

このような活動が認知され、昨年10月には島根県議会の皆様が、サンビスカス沖縄の運動あそびがどのように行われているのか、沖縄まで視察にこられました。

昨年10月には島根県議会環境厚生委員の方々がサンビスカスの『アミーゴ運動あそび』の視察に来られました。

運動あそびと聞くと「ただ遊ばせてるだけやん!」と感じる方も多いと思いますが、そうではありません。

しゃがむこと、飛ぶこと、投げること、伸ばすこと、素早く動くこと、判断して動くこと、ボールを蹴ること、キャッチすること、バランスをとること、転がること、立ち上がること、避けること、細かいこと、ダイナミックなこと。

これを「やらせれてる」感覚ではなく、子どもたち自らが「やりたくなる」ように工夫され、楽しみながら動作習得できるという、本当に素晴らしいプログラムなんです。笑(コーチや先生方のアップデートのおかげです!)

『なぜこのような動きをするんですか?』
『このメニューの意味はなんですか?』
『なぜこのルールで行ったんですか?』

コーチたちも、園の先生や保護者の方々から、その運動の意図をよく聞かれるそうです。

これを、ただただ「子どもたちの脳や神経系に、いろんな刺激をしているんですよ〜」というには、ちょっと言葉が足りない。なにかもっと言語化できないものだろうか。とずっと考えていました。

そこで出会ったのが「エコロジカル・アプローチ」という一冊の本でした。

エコロジカル・アプローチ

エコロジカルアプローチというのは、ヨーロッパで注目されている運動学習理論のことで、サッカーやバスケなど球技関係の指導者の間で今話題になっているもの。

エコロジカル・アプローチを簡単にいうと、「人は置かれた環境に適応するシステムである」という観点から、様々な環境条件を工夫することで、人間の本能として持っている適応能力を引き出すことや、新たなスキルが突如として現れる「相転移現象」を目的として行うトレーニング理論のことを言います。

例えば、バスケのフリースロー練習と聞いて、あなたはどういう練習を思い浮かべますか?
おそらく、フリースローラインにセットして、何度もフリースローを打ち込んで練習することをイメージすると思います。

それは、フリースローの『安定性』を求めるがあまり、シュート感覚を覚えさせるため『反復練習』を行う方がいいとされていたからです。(本書ではこのことを伝統的アプローチと呼んでいます。)

しかし、フリースローの確率が高い選手ほど、毎回フリースローのフォームがバラバラだという研究データがはっきりでました。

それは、選手の置かれた環境が、毎回・毎試合、違うからなんですよね。

例えば、前半最初のフリースローと、後半終盤の疲れた状態のフリースローで、同じ感覚で投げるのは難しいものです。腕の感覚、足の状態、心拍数など、同じフリースローの場面であっても、絶対的に『同じ状態・同じ状況』にはないからなんですね。

一見すると、誰にも邪魔されないフリースローは、同じ環境下(ルール)ですし、ただシュートフォームを安定させたら良いと思われますが、そうではないわけです。

今の自分の体の状態を脳が瞬時に判断し、その状態に合わせた力加減やフォームを脳から神経を伝って、シュートが入るような加減を実行することこそが、確率の高いシュートフォームを作れるわけです。

これは『適応能力』とも言いますが、その適応能力を習得するには、『様々な環境下で行うこと』が重要だと、エコロジカルアプローチでは書かれています。

サッカーのトラップ練習についても、大きさの違うボール、硬さの違うボール、形の違うボールを使うことで、トラップの加減や角度が変わります。

また、土のグラウンド、芝のグラウンド、体育館のフロアなど、ピッチによってもボールのトラップの仕方は違ってきます。

どんなボールでも、どんなピッチでも、ボールをピタッと止められるのは、その置かれた状況を、これまで自分に蓄積されたデータ(経験)で判断し、それに最適な体の構造を瞬時に作り出すことができるからなんですよね。

(ブラジルの選手が上手いのは、小さい頃から砂場でサッカーをしたり、裸足でボールを蹴ったり、コンクリートでサッカーをしたりして過ごしたから、凄まじい適応能力がつくられるのだそうです。)

これ、普段から遊びの中でもできませんか??^^

同じ環境、同じメニュー、同じ道具でやるよりも、様々な動作を習得することで、その適応能力があがり、結果スキルや精度が高まっていきます。また、それを子どもたちが「自らやりたくなるような状況」がもっとも大事かなと思います。

そのためにはやはり、宿題をやる感覚ではなく、ゲームをやるような感覚にしてあげなくてはいけません。(つまり、楽しくなきゃ適応力は習得しにくい。)

サンビスカスがずっと大切にしてきた「6才までに遊びの中でさまざまな動きを習得すること」が、しっかりとデータでも、根拠としても書かれているので、より詳しく知りたい方は、ぜひ「エコロジカル・アプローチ」という本を読んでみてください。

たくさんの動き、たくさんのメニュー、たくさんの環境下で、子どもたちが楽しめたら、適応能力はどんどんアップしていくと思いますよ♪

以上!何かのヒントになれれば幸いです^^

それでは今日はこのへんで!

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