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大城 充幹(サッカーB級コーチ)
保育園で運動遊びの指導をしたときのお話
「はい。四角い形をしたコートの中で、みんなで自由に好きなように走ってみよう!」と私が言うと、子どもたちは一斉にコートの中に入って、思いのままに走り出します。
そんな中、子どもたちの中には周りを見ずに前だけを見て走っている子がいます。
しっかりと周りを見ながら走っている子が、そういう子が近づいてきたときに上手く避けることができていたのでぶつかることはありませんでしたが、見ていてヒヤヒヤする場面も多くありました。
指導を終えた後、園の先生がたと子どもたちの様子を話していると、あるひとりの先生から
「四角い形をしたコートの中を子どもたちが自由に走るメニューのことですが、今回はありませんでしたが、子ども同士がぶつかるケースもあると思うので、みんな同じ方向に走らせた方がいいのではないでしょうか?」
というお話がありました。
私は「確かに同じ方向に走れば、ケガを防げるかもしれません。危険なことも起きないかもしれません。実際にこれまでに子ども同士がぶつかるケースもありました。」と答えました。
なぜ同じ方向に走るようにしないのか?
それは、
子どもたち自身が「もし危険な目に合うとしたらどんな要因があるのか?」を知り、その危険を子どもたち自身で未然に防げるようになってもらうことが狙いだからです。
動ける範囲が限られていて、周りで同じように走っている人がたくさんいて、しかも走る方向はみんなバラバラだとぶつかる危険性もあります。
その時に
- 首を振って周りを確認しながら走っているかな?
- ぶつかりそうなときに止まる意識、方向を変える意識を持ちながら走っているかな?
- もしかしたらぶつかるかもしれない?だれかがぶつかってくるかもしれない?ということを感じられているのかな?
といったような子どもたちの動きを見て確かめています。
もし、周りを見ずにものすごい勢いで走っている子や。周りの子がぶつかってくるかもしれないということを全く考えていない(考えていないので周りを全く見ない)子がいたら教えてあげることが必要になるからです。
状況によって真っ先に考えるべきことを、考えることができていない。
周りを見ずに走っている子や、「周りの子がぶつかってくるかもしれない」と考えていない子は、ぶつかってしまっても、
- ぶつかった原因が分からない
- ぶつかった理由が間違っている
という場合があります。
例えば、子ども同士がぶつかってしまったとします。
周りの子がぶつかってくるかもしれない。ということを考えていない様子で走っていた子に「どうしてぶつかってしまったのかな?」と聞いてみます。
すると「あの子が、ぶつかってきたから」と答えることがあります。
本人が、周りを確認するという作業が欠けていることに気付いていません。
そもそも、ぶつかる状況の中にいるという認識をもっていないことが問題です。
これが違う場所ではもっと危険なことになるかもしれません。
大きな事故に繋がるかもしれない。
例えば、動いてるブランコの後ろを通ってブランコにぶつかってケガをしてしまう場合があります。
動いているブランコに近づくとぶつかるかもしれないということよりも、危ない場所に自分が近づいてしまったということよりも、急にブランコがぶつかってきたと思うかもしれません。
そういった考え方のままだと、「何が原因でそうなったのか」を解決できず、また次も危ない場面に遭遇するかもしれません。
保育園や幼稚園は集団で生活する場で、部屋で過ごしているときでも、園庭で遊んでいるときでも、集団で生活している以上、ケガが起きる可能性や危険なことが起こる可能性だってあります。
それは普段の日常生活でもいえることです。
日頃から運動を通して体験し、経験を繰り返すことで、危険から身を守るために必要な感覚を体が覚えていき、子どもたち自身が、自分の身を自分で守れるようになっていきます。
そのため、その時の危険やケガの回避だけでなく、さらに大きな事故や危険に合わないために様々な経験ができるようにしてあげる必要があると思います。