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大城 充幹(B級コーチ)
ある保育園で指導したときのお話
年長組の運動遊びの時間にクラス(1組、2組)対抗の「円作り競争を」を行いました。
円作り競争とは、クラス全員で円を作る遊びのこと、1つの円を作ることができたら、次は2つの円を作る、2つの円を作ることができたら次は3つの円を作る。という風に、2重、3重、4重と円を重ねるようにどんどん増やしていきます。
ルールは、
- 円の真ん中にマーカーがあること。
- 全員、両手が誰かと繋がっていること。
の2つだけ。
円の数が増えるごとに工夫が必要になります。
また、どうすれば円をスムーズに作ることができるかを考えることが必要になります。
ゲームスタート!
私:「最初は一つの円を早く作れたチームの勝ちです。それではいくよ!」
私:「よーいスタート!」
子どもたちが一斉に動き出しました。
「大きなまるになって!」
「早く手をつないで!」
「マーカーが真ん中にない!もっとあっちに寄って!」
子どもたちは、声を掛け合いながら1つの円をつくることに成功しました。
私:「よく出来ました!では次は二つの円を早く作れたチームの勝ちです。それではいくよ!」
私:「よーいスタート!」
子どもたちはまた一斉に動き出しました。
しかし今度は、
「どうやればいいの?」
「こっちとこっちにまるをつくろう」
「まずは小さなまるを作るから集まって」
などの声が聞こえてきました。
そして、なんとか2つの円を作ることに成功しました!
自分たちでできるように見守る。
次は3つ、4つ、5つの円作りに挑戦!
1つ目の円、2つ目の円、3つ目の円まではスムーズにできました!
しかし、4つ目、5つ目と円の数が多くなればなるほど子どもたちの人数が足りなくなったり、手が届かなくなってしまったりと円を作れなくなりました。
「人数が足りなくて4つもできない」
「手が届かない」
「できない」
子どもたちからそんな声が聞こえてきます。
それでも「どうすれば出来るかな?」と何度も問いかけます。
すると何度も失敗を繰り返えしていくうちに、
「どうする?」
「1つ目のまるは少なくしないと」
「最初のまるは2人にして。次のまるを3人に。どんどん増やしていったらできるんじゃない?」
「あ、最初のまるは小さい人がいいんじゃない?」
「じゃあ、最後のまるは手が長い人たちがつくってね!」など子どもたち同士の声が聞こえてきました。
こうかな?こんなかな?と試行錯誤しながら時間はかかりましたが見事クリアすることができました!
作り方を教えてあげた方が早いのでは?
この話を聞いて、「作り方を教えた方が早いのでは?」と思った方もいるかと思います。
では、うまくいかない様子を見るに見かねて
「その人数のバランスではダメ。ほら最初で、2人グループをつくって、3人グループをつくって、4人グループをつくって」
と大人が指示を出してしまっていたらどうでしょう?
もちろん、自分たちだけで行うよりもスムーズに早く円を作ることができるでしょう。
子どもたちも「出来たー!やった〜!」と飛び上がって喜ぶでしょう。
しかし、そこに残るものは「出来た」ということだけではないでしょうか?
「できるためにどうするか」を自分で考える!
前者のように自分たちでできる方法にたどり着くまで何度も失敗を繰り返した子どもたちは、その都度自分たちで考え、行動しています。
出来ると思ったのに思い通り進まなくてイライラしたり、失敗が重なって焦ったり、お友だちと意見がぶつかって言い合いになったり、それを誰かが止めに入ったり、わずか数十分ですがそこにはドラマがあります。
私は「失敗をしないで成功をさせることよりも、失敗をして子どもたち自身で学んでほしい」と考えます。
そうすることで、「できない」ことがあっても「できるようにしよう!」「どうやったらできるようになるかな?」という気持ちが生まれると思うからです。
出来ないからこそ、「どうしたらいいのかな?」と解決方法を自分で考え、「こんなふうにやってみたら出来るかな?」と行動してみる。
それが子どもたちにとても貴重な時間になると思いますので、ぜひ全てを教えるのではなく見守ってほしいと思います。
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